ヤブムラサキ(読み)やぶむらさき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤブムラサキ」の意味・わかりやすい解説

ヤブムラサキ
やぶむらさき / 藪紫
[学] Callicarpa mollis Sieb. et Zucc.

クマツヅラ科(APG分類:シソ科)の落葉低木。高さ約2メートル。葉は卵形または長楕円(ちょうだえん)形で長さ6~12センチメートル、先はとがり、縁(へり)に鋸歯(きょし)がある。表面に軟毛、裏面に星状毛を密生し、ビロード状の手ざわりがする。6~7月、葉腋(ようえき)に小形の集散花序をつくり、毛深い小さな淡紫色花を数個から十数個開く。花冠は4裂し、外面白色の軟毛がある。萼(がく)は腺点(せんてん)と、分岐した毛を密生する。果実は小球形で径約4ミリメートル、秋に紫色に熟し、近縁ムラサキシキブのものよりやや大きい。山地に普通に生え、岩手県以南の本州から九州、および朝鮮半島南部に分布する。名は、ムラサキシキブに似ており、全体が毛深いことによる。

小林義雄 2021年9月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤブムラサキ」の意味・わかりやすい解説

ヤブムラサキ(藪紫)
ヤブムラサキ
Callicarpa mollis

クマツヅラ科の落葉低木。アジア東部の温帯に分布し,本州,四国,九州の山地に生える。幹は高さ 1.5~2mとなり,枝は細く,若いときに灰白色の星状毛をつける。葉は長さ6~10cmの卵形で先端はとがり,鋸歯があって,上面に短毛,下面に星状毛がある。6~7月に,小型の集散花序を腋生し,短い柄をもつ淡紫色の小花をつける。萼は4~5裂し,分枝した毛を密生する。液果径数 mmの球形で淡紫色に熟する。

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