ユウギリソウ(その他表記)Trachelium caeruleum L.

改訂新版 世界大百科事典 「ユウギリソウ」の意味・わかりやすい解説

ユウギリソウ
Trachelium caeruleum L.

キキョウ科の半耐寒性多年草南ヨーロッパおよび北アフリカ原産。大正年間に輸入され,日本ではもっぱら切花として栽培利用されている。草丈1mに達し,茎は直立し紫青色を帯び,粗鋸歯のある卵形葉を互生する。6~9月に,茎頂に紫青色微小花を大きい密な散房花序をなして咲かせ,やや金属光沢があり,涼感があって夏の花としてふさわしい。多年草であるが,半耐寒性であることと実生1年目で十分生育開花するため,日本ではほとんど一,二年草として春または秋まきにして栽培される。切花用としては秋まきし温室栽培をして初夏に咲かせる。半陰地でも栽培ができ,連作を嫌う。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユウギリソウ」の意味・わかりやすい解説

ユウギリソウ
ゆうぎりそう / 夕霧草
[学] Trachelium caeruleum L.

キキョウ科(APG分類:キキョウ科)の半耐寒性多年草。南ヨーロッパから北アフリカ原産。ハウス内では一、二年草として栽培される。茎は高さ0.3~1メートル。葉は長さ10センチメートルの卵形で鋭頭重鋸歯(じゅうきょし)縁。6~9月に2ミリメートル前後の小形の合弁花を密な散房花序につける。花色は菫青(きんせい)、白、赤、汚黄色などで、切り花、鉢植え花壇用。長日植物で電照促成栽培が可能。

[植村猶行 2021年10月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユウギリソウ」の意味・わかりやすい解説

ユウギリソウ(夕霧草)
ユウギリソウ
Trachelium caeruleum

キキョウ科の多年草。ヨーロッパ南部,北アフリカの原産。切り花用に栽培され,ときには花壇,鉢物に使われる。茎は高さ 30~100cm,木質化して直立し,全体に無毛で青みを帯びる。葉は短い柄があって互生し,卵形であらい鋸歯があり,先はとがる。6~9月に,大型の散房花序を頂生する。花冠は小さな管状で長いおしべが飛出している。普通は青紫色で光沢があるが,白色,肉色,汚黄色などの変種がある。全体の感じはむしろオミナエシなどに似ている。

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百科事典マイペディア 「ユウギリソウ」の意味・わかりやすい解説

ユウギリソウ

南欧原産のキキョウ科ユウギリソウ属(トラケリウム)の多年草だが,園芸的にはふつう秋まきの一〜二年草として扱われ,おもに切花用に栽培される。茎は高さ1m内外。7〜8月,枝先に径約5mmの小花を散房状に多数密につける。花色は青紫・白・桃色など。

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