ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラチラカ」の意味・わかりやすい解説
ラチラカ
Ratsiraka, Didier
[没]2021.3.28. アンタナナリボ
ディディエ・ラチラカ。マダガスカルの軍人,政治家。大統領(在任 1975~93,1997~2002)。社会主義的な政策から「赤い提督」の異名をとり,約 23年にわたってマダガスカルを統治した。タナナリブ(→アンタナナリボ)のサン・ミシェル・カレッジを卒業したのちフランスへ渡り,パリのアンリ4世校を経て海軍兵学校,海軍大学校に学んだ。1963年帰国して,マダガスカル海軍の各部署に勤務,1970~72年フランスのマダガスカル大使館付き武官。1972~75年外務大臣。1975年6月最高革命評議会が政権を握ると,その議長となり,国防大臣も兼任。同年 12月の国民投票によって大統領に選ばれ,社会主義的国家建設を指導することとなった。1976年3月革命前衛党 AREMAを結成し,書記長に就任,同党中心の統一戦線,革命防衛国民戦線 FNDRを唯一の合法政治組織とする事実上の一党体制をしいた。1989年3月大統領に3選されたが,経済の悪化と世界的な民主化の流れのなかで体制批判が強まり,1993年2月の大統領選挙の決選投票では対立候補のアルベール・ザフィに敗れた。その後,ザフィが汚職を理由に弾劾されて失職,1996年末の大統領選挙で当選を果たした。2001年末の次期大統領選挙では,対立候補で実業家のマルク・ラベロマナナとの間で票の集計などをめぐって深刻な対立が生じ,国内が政情不安に陥るなか,2002年7月に突如フランスに亡命した。帰国後の 2018年にも大統領選挙に出馬したが大敗した。
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