ラッコール(読み)らっこーる(その他表記)laccol

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラッコール」の意味・わかりやすい解説

ラッコール
らっこーる
laccol

多価フェノールの一つで、3-位にC17H31側鎖をもつカテコール誘導体。構造を表す名称は(8Z,11Z)-3-(ヘプタデカ-8,11-ジエニル)カテコール(または(8Z,11Z)-3-(ヘプタデカ-8,11-ジエニル)ベンゼン-1,2-ジオール)である。アルコール、エーテルなどの有機溶剤によく溶ける。ラッカーとしての用途をもつ。ヤマウルシヤマハゼツタウルシなどのウルシ科植物にウルシオールとともに含まれている。

 3-位に飽和および不飽和のC15置換基をもつカテコールは、ウルシから得られるのでウルシオールとよばれていて、ラッコールと同様にラッカーとして使われている。日本や中国ではラッカーとしてウルシオールを使うが、台湾、ベトナムなどの東南アジア地域ではインドシナウルシなどの植物から得られるラッコールを用いている。

 ラッコールやウルシオールは、皮膚につけるとかぶれをおこす。これらを含有するウルシなどの植物に触れるだけでもかぶれることがあるので注意を要する。

[廣田 穰 2016年11月18日]


ラッコール(データノート)
らっこーるでーたのーと

ラッコール

 分子式 C23H36O2
 分子量 334.5
 融点  23℃
 沸点  220℃/0.5mmHg
 比重  0.9963(測定温度22℃)
 屈折率 (n)1.5046

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のラッコールの言及

【ウルシオール】より

…ウルシの乾燥はこの側鎖の不飽和結合の自動酸化による重合や,カテコール部分の分子間縮合による反応で,乾燥塗膜が分子的に軟構造と硬構造の組み合わさった構造をとることが,他成分との高次構造の形成と相まって,強靱な塗膜となる因となっている。中国産ウルシの主成分もウルシオールであるが,アンナンウルシの主成分はラッコールlaccol,ビルマウルシはチチオールthitsiolである。生漆ほどではないが皮膚に炎症を起こさせる。…

※「ラッコール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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