日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラマ廟」の意味・わかりやすい解説
ラマ廟
らまびょう
チベット式仏教寺院。ダライ・ラマの居城であったラサのポタラ宮、パンチェン・ラマの居所であったシガツェのタシルンポ寺、最古の寺院として8世紀中葉に礎石を据えられたサムエ寺や、チベット三大寺として15世紀に建立されたガンデン寺、デプン寺、セラ寺がチベットに存する代表的な大僧院としてあげられる。チベット仏教がモンゴル、中国大陸へと伝播(でんぱ)するにつれ廟の建築様式に変化がみられる。チベット以外では、モンゴルのウランバートル(庫倫(クーロン))のガンデン寺(慶寧(けいねい)寺)、ドロン(多倫)の彙宗(いそう)・善因(ぜんいん)の二大寺、熱河(ねっか)の八大ラマ廟、内モンゴルのアバガの貝子廟(ベイズミヤオ)、北京(ペキン)の雍和宮(ようわきゅう)、山西(さんせい/シャンシー)の五台山(ごだいさん/ウータイシャン)など数百があり、主として清(しん)朝の康煕(こうき)・雍正(ようせい)・乾隆(けんりゅう)帝の代に創建されている。
[川崎信定]
『多田等観著『チベット』(岩波新書)』▽『長尾雅人著『蒙古ラマ廟記』(中公文庫)』