転生活仏の略語。チベット語ではトゥルク(sprul sku,化身)またはクケー(sku skyes,御転生)という。仏がこの世に出現させる化身の菩薩は,すべての人々が悟り救われるまで輪廻の世界に生まれかわって救済を続け,自分は理想とされる涅槃(ねはん)に入らないという《楞伽(りようが)経》の教えに基づいて,優れた僧をそのような菩薩とみなし,その死後49日間に受胎されて生まれた者のあいだから転生者を探し出す習慣が生じた。はじめカルマ,カーギュという2派の法主がこの方法で選出され,宗派意識の高揚に役立ったところから,この2派と対立したゲルク派が16世紀半ばに宗派的結束を図ってデープン寺住職の転生者を選んだ。これがダライ・ラマ転生の初めである。その後,活仏を選んで教法の系統を相続させる方式が普及し,客観的な証拠のないことと遺産相続を伴うところから選定がしばしば歪曲されたので,清朝支配下では金瓶に入れた名票を抽選させる対策がとられたこともあった。
執筆者:山口 瑞鳳
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…中国,清代内モンゴルの最高の活仏で黄帽派(ゲルー派)ラマ教主の名称。その初代活仏ロサンチョエデン(1642‐1715)は青海地方に生まれ,ダライ・ラマ5世の弟子となったのち,1693年(康熙32)勅命を奉じて北京に来た。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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