ランヨウアオイ（読み）らんようあおい

日本大百科全書(ニッポニカ)

ランヨウアオイ
らんようあおい / 乱葉葵
蘭葉葵
[学] Asarum blumei Duchr.

ウマノスズクサ科（APG分類：ウマノスズクサ科）の多年草。葉は長い葉柄があり、広卵形または矛形で、基部は心臓形となる。葉質はやや薄い。開花は4～5月。萼筒(がくとう)は丸みのある円筒形で、入口は小さな穴となる。萼筒の内壁には網状のひだがあるが、下部では縦ひだのみが顕著となる。萼片は広卵形で開出する。花柱は背部が角(つの)状に突出し、その基部に円形の柱頭がある。関東地方南西部、静岡県東部、山梨県南部に分布する。

［菅原　敬　2018年7月20日］

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ランヨウアオイ(蘭葉葵)
ランヨウアオイ
Heterotropa blumei

ウマノスズクサ科の常緑の多年草で，カンアオイの1種。関東地方南部の山地に生える。茎は地をはう。葉は越年生で毎年1枚ずつつく。長い葉柄をもち，両面に毛がある。葉身は広卵形で基部は左右にやや張出して耳のようになる傾向がある。上面に白い斑紋のあるものが多い。3～5月，葉のそばに淡褐色の花を1個つける。花柄は短く，萼は筒状で太鼓のようにふくらみ，上部は淡黄色で平らに開いて3裂する。内側には紫色を帯びた網目状のひだがある。花筒は四角形にふくれ，おしべ 12本は子房の外壁につく。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

世界大百科事典（旧版）内のランヨウアオイの言及

【カンアオイ(寒葵)】より

…ナンゴクアオイH.crassa F.Maek.は葉が厚く，深緑色で広三角形，長さ10cmをこえるが，九州南部の吐噶喇（とから）列島や宇治群島に産する。　ランヨウアオイH.blumei F.Maek.は日本産のカンアオイ類では最も薄い葉質の種で，関東地方南部から伊豆にかけて分布する。葉は心形で基脚部は耳状に張り出し，葉裏の脈上に毛を有する。…

※「ランヨウアオイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」