改訂新版 世界大百科事典 「リオグランデドスル」の意味・わかりやすい解説
リオ・グランデ・ド・スル[州]
Rio Grande do Sul
ブラジル南部の州で,国土の最南端に位置し,アルゼンチンおよびウルグアイと国境を接する。州都ポルト・アレグレ。面積28万2184km2で,全国土の3.32%に相当し,人口は1018万8000(2000)で,人口密度は36人/km2である。州域は北東部の山地および南東部の海岸山脈と海岸平野に三分される。北東部のリオ・グランデ高原は所により標高は1000mを超える。南東部のリオ・グランデ楯状地は,海岸山脈に属し,500m台である。海岸平野は,広大な沖積平野(3万2000km2)で,ブラジル最大の湖,パトス湖を含む。ウルグアイ川が国境を南西流する。平均気温18℃。月間平均気温は,1月の23.2℃から7月の12.8℃まで変動する。年間降水量は平均1643mm。北東山系では1992mmに達する。沿岸部では雨量が少なく1302mm。北東山系や高原では霜や雪が珍しくない。南半分は草原,北半分では森林が多い。沿岸部から内陸に入るにつれて植生が濃密になる。森林面積は4万km2である。
ラ・プラタ川北岸の防衛と牧畜を軸に17世紀末にポルトガル系住民の入植が行われ,農業と乾肉製造とともに黒人奴隷が導入された。18世紀半ばコロニア・ド・サクラメントおよびウルグアイ川流域のシエテ・ミシオネス地域をめぐってスペインと戦った。19世紀に多数のヨーロッパ人(とくにイタリア人とドイツ人)が移住した。住民の90%近くが白人である。1980年現在,平均寿命は53歳で国内最長,死亡率は1.264%で国内最低である。産業面では農牧業が中心だが,工業も発展しつつある。農業は大麦,小麦,タマネギ,フェイジョン豆,大豆,果物,米,ジャガイモ,サトウキビ,タバコなどが重要。牧畜も盛んで約1300万頭の牛がいる。工業は食品加工,衣料,靴,冶金,家具などが中心である。
執筆者:山田 睦男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報