ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リオン」の意味・わかりやすい解説
リオン
Lions, Pierre-Louis
フランスの数学者。偏微分方程式に関する業績を認められ,1994年フィールズ賞を受賞。1979年パリ第6大学で博士号を取得。1981年パリ第9大学の教員となり,1993年からパレゾーのエコール・ポリテクニクの職も兼務。1994年スイスのチューリヒで開催された国際数学者会議でフィールズ賞を受賞。非線形偏微分方程式を中心とした古典解析における功績が認められた。1983年マイケル・G.クランダルと共同でハミルトン=ヤコービ方程式(→ハミルトン=ヤコービの理論)に「粘性解」を導入した。ハミルトン=ヤコービ方程式はリオンの博士論文のテーマであり,偏微分方程式と確率からの方法を用いた解決法を見つけている。その後 R.J.ディペルナと共同で,一般的な初期データを与えられた場合における衝突する剛体球の密度について,ボルツマン方程式の解の存在を厳密に証明した。このほかにも非線形偏微分方程式全般において,および確率制御理論,偏微分方程式の数値アルゴリズム,画像処理などの応用数学のさまざまな分野において多大な貢献をしている。著書に "Generalized Solutions of Hamilton-Jacobi Equations"(1982),"Stochastic Differential Systems, Stochastic Control Theory, and Applications"(1988,ウエンデル・フレミングと共著)など。
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