日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
リーダーズ・ダイジェスト
りーだーずだいじぇすと
Reader's Digest
アメリカの総合月刊誌。1922年、ウォーレスDeWitt Wallace(1890―1981)とその妻ライラのウォーレス夫妻により創刊された。創刊部数は5000部で、そのすべてが通信販売であった。1929年に店頭販売を開始し、大恐慌のさなかにもかかわらず6万2000部を売り上げ、その6年後には100万部の大台を突破した。ポケットに入れて持ち運びやすいコンパクトなサイズで、新刊書や雑誌記事の抜粋とオリジナルの記事からなる。いつまでも読むに耐える、読んでおもしろいものを選ぶのが編集上の基本方針だが、中西部の勤勉で保守的な人たち(ミドル・アメリカン)の価値観を代表する内容ともいわれる。2000年6月期の国内の号当り販売部数は1261万部(2063万部の『モダン・マチュリティ』に次ぎ第2位)。国外では19言語、47種類の版が出ており、それを入れると1億部弱で世界最大部数の雑誌といえる。発行元のリーダーズ・ダイジェスト・アソシエーションは、同誌のほかに、DIY情報誌『ザ・ファミリー・ハンディーマン』、中高年向けの『ニュー・チョイス』、資産運用情報誌『マネーワイズ』、ウォーキング愛好者向けの『ウォーキング』などを発行する。また、選集・図鑑・児童書などの書籍を発行するほか、レコードやCD(あらゆるジャンルの全集もの)、ビデオ(旅行・自然・歴史・科学関連)などを製作し、世界規模のクラブ組織を使って通信販売を行っている。2000年6月期の収入は25億5000万ドル(対前年度比1%増)、利益は2億5200万ドル(同54%増)。日本語版は第二次世界大戦直後の1946年(昭和21)に創刊され「リーダイ」の愛称で親しまれていたが、業績不振のため86年2月号をもって廃刊となった。
[星川正秋]
『常盤新平著『アメリカン・マガジンの世紀』(1986・筑摩書房)』▽『塩谷紘著『「リーダイ」の死』(1986・サイマル出版会)』▽『金平聖之助著『アメリカの雑誌 1888~1993』(1993・日本経済新聞社)』▽『金平聖之助・桑名淳二著『最新アメリカ雑誌情報』(1997・出版研究センター)』