日本大百科全書(ニッポニカ) 「レフラー」の意味・わかりやすい解説
レフラー
れふらー
Friedrich August Johannes Löffler
(1852―1915)
ドイツの細菌学者。ウュルツブルク大学を卒業、学位取得後、病院勤務、軍医を経て、1879年国立衛生院に入り、コッホの門下になった。1882年、馬鼻疽(びそ)菌を発見、1884年ジフテリア菌の純培養に成功して、すでに患者材料中に認められていたクレプスの桿菌(かんきん)を病原菌と決定した。1897年フロッシュPaul Frosch(1860―1928)と共同でウシの口蹄疫(こうていえき)の病原は一種のウイルスであると発表、動物ウイルスの最初の報告である。日本の緒方正規(おがたまさのり)は、ドイツ留学の際にコッホがエジプト、インドに旅行中のためレフラーに師事して細菌学技術を習得した。また同じくドイツに留学した北里柴三郎(きたさとしばさぶろう)はまずレフラーに面接してコッホの門下生となった。1910年コッホの死後、国立伝染病研究所(1891年開設)はコッホ伝染病研究所と改名され、レフラーは所長に就任した。
[藤野恒三郎]