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口蹄疫 こうていえきfoot-and-mouth disease

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

口蹄疫
こうていえき
foot-and-mouth disease

ヒツジ,ウシブタなどの家畜のウイルス性疾患であるが,まれにヒトに感染することもある。家畜に感染すると1週間程度の潜伏期ののちに発熱し,唇,口内や蹄間などの皮膚や消化管粘膜の上皮組織に第一次性の水疱ができる。病気にかかった動物は舌や口が痛いので,特殊な舌打ちのような動作を繰返し,これが次第に激しくなると,第二次性の水疱が現れる。この水疱が破裂して生々しい潰瘍面を現す。その間ウイルスは唾液,乳汁,尿,糞に排出される。感染した家畜は餌を食べなくなるが,致死率は高くない。病原ウイルスは1μm程度で,最も小型の部類に属する。日本国内への輸入はきびしくチェックされている。

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知恵蔵の解説

口蹄疫

牛、豚などの家畜に発生する急性伝染病で、病原体は口蹄疫ウイルス(Picornaviridae Aphthovirus)。症状は発熱、よだれ、口や蹄(ひづめ)の水疱(すいほう)、歩行障害、不妊、流産など。対策としては隔離・処分しかない。人間が食べても影響はない、とされている。日本では2000年に、92年ぶりの発生が2カ所で確認された。感染源は中国産の輸入藁(わら)と見られている。02年5月には韓国で口蹄疫が発生、牛肉・豚肉、肉加工品等の輸入禁止措置が取られた。英国でも07年に、01年に引き続いて発生が確認された。

(池上甲一 近畿大学農学部教授 / 2008年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

口蹄疫

豚や牛などの伝染病。脚や舌に水疱ができ、エサが食べられずに急激にやせ衰える。人には感染せず、肉を食べても人体に影響はない。

(2015-08-30 朝日新聞 朝刊 大分全県・1地方)

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デジタル大辞泉の解説

こうてい‐えき【口×蹄疫】

ウイルス性伝染病の一つ。豚・牛・水牛・羊・山羊・鹿・猪・ラクダ・トナカイなど偶蹄類の動物およびハリネズミ・ゾウなどが感染し、口腔の粘膜やひづめの間の皮膚などに水疱を生じる。国際獣疫事務局(OIE)のリスト疾病に指定され、国際的に厳しく監視される。日本では、家畜伝染病予防法監視伝染病家畜伝染病)に指定されている。
[補説]成獣での致死率は低いが、感染率・発病率は高く、家畜の場合、運動障害・栄養失調により生産性が低下する。感染が拡大すると甚大な経済的損失を招くおそれがあるため、患畜は速やかに殺処分される。また、発生場所から一定範囲内の家畜の搬出は厳しく制限され、疑似患畜を含めて全頭殺処分し、埋却される。ウイルスが付着した飼料・人・車両も感染経路となるため、消毒や交通制限が行われる。

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百科事典マイペディアの解説

口蹄疫【こうていえき】

ウシをはじめヒツジ,ヤギ,ブタなど偶蹄類動物を冒す家畜法定伝染病。動物のウイルス病としては最初に発見(1898年)されたもの。口腔粘膜,蹄冠部などに水疱(すいほう)を生じる熱性疾患。
→関連項目ウイルス病

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栄養・生化学辞典の解説

口蹄疫

 口蹄病ともいう.ウイルス性の伝染病で,ウシ,ブタなどがよく感染する.人畜共通.

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世界大百科事典 第2版の解説

こうていえき【口蹄疫 foot‐and‐mouth disease】

ウシ,ブタ,ヒツジ,ヤギなどのほか,シカ,ラクダなど多種類の偶蹄類をおかすウイルス性伝染病。まれにはヒトにも感染するが発病することはない。ヒトから動物へ病原を伝達することはある。原因ウイルスはピコルナウイルスのライノウイルス属に属する。伝染性が強く,抗原的に七つの免疫タイプが区分されており,一度侵入すると防除は困難である。この病気は全世界に分布し,現在清浄とみなされている大陸は北アメリカオセアニアのみである。

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大辞林 第三版の解説

こうていえき【口蹄疫】

ウシ・ブタ・ヒツジなどの偶蹄類が感染するウイルス性の家畜法定伝染病。発熱・流涎りゆうぜんとともに多数の水疱すいほうが生じる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

口蹄疫
こうていえき

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目に属する動物にのみ伝染するウイルス性の伝染病。一度発生すると伝染力が強く、家畜法定伝染病に指定されている。ウシ、スイギュウ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、トナカイなどの、口や蹄部(ひづめ)の皮膚、粘膜に水疱(すいほう)を形成し、急速に広がる。感染率や発病率は高い。致死率は一般には低いが、幼畜では高い場合が多い。
 伝播(でんぱ)は接触および空気により、ウイルスは病変部に濃厚に存在し、形成された水疱が破れると床や畜舎を汚染し、唾液(だえき)や呼気から飛散し、牛乳中や精液などにもウイルスが混在している。アジア、アフリカ、南アメリカにはいずれも常在しており、ウイルスが存在している国からのウイルス侵入の阻止が重要である。2000年(平成12)、92年ぶりに日本での発生がみられた。ただし、鼻腔内の病変のみで、蹄(ひづめ)の局所に異常はなく、抗体によって感染が確認された。口蹄疫と診断された場合には、特定家畜伝染病防疫指針に基づき、初発農場から半径5~30キロメートルの範囲内で生体の搬出を制限、交通遮断、疑似患畜(発生のおそれのある家畜)を含め全頭殺処分、埋却および消毒処置を行い、蔓延(まんえん)を防止する。日本は国際獣疫事務局(OIE)により、ワクチン接種をしない「口蹄疫清浄国」として認定されている。口蹄疫の常在国での予防には、数種の型を混合した多価ワクチンの接種が必要で、年2回の注射が行われる。[本好茂一]

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