日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロイズTSB銀行」の意味・わかりやすい解説
ロイズTSB銀行
ろいずてぃーえすびーぎんこう
Lloyds TSB Bank plc
イギリスの大手民間銀行。バークレイズ銀行、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)、HSBCとともにイギリス四大銀行の一つに数えられる。1995年、当時全英第4位の商業銀行であったロイズ銀行Lloyds Bank plcと、第7位の信託貯蓄銀行TSB(Trustee Savings Bankの略称)グループが合併してロイズTSB銀行となった。
[上川孝夫・佐藤秀樹]
ロイズ銀行
ロイズ銀行は、1765年、バーミンガムでテーラー・アンド・ロイドというパートナーシップの銀行として設立された。1865年に株式組織となり、払込資本金14万ポンド余のロイズ・バンキング・カンパニー・リミテッドとなった。1884年にはロンドンに進出、1889年に社名をロイズ・バンク・リミテッドと改め、1912年ロンドンのロンバード街に本店が移された。1972年、当時の四大銀行であったロイズ銀行、バークレイズ銀行、ナショナル・ウェストミンスター銀行(現RBS)、ミッドランド銀行(現HSBC)のうち、バークレイズ銀行を除く3行は共同でジョイント・クレジットカード「アクセス」の発行を始め、1976年にはマスターカードに移行し小口金融のシェア拡大に努めた。1982年にPLC(公開有限会社)となった。
海外では中南米などに積極的に利権を拡大し、日本へは1986年に支店を開設した。1988年にはイギリスの大手生命保険会社アビー・ライフと提携し、傘下に収めるとともに、1995年には住宅金融組合チェルトナム&グロスターを買収した。
[上川孝夫・佐藤秀樹]
ロイズTSBグループの形成
1995年のTSBとの合併は、1976年に信託貯蓄銀行より一般銀行業務への転換が認められたのを受けて行われたもので、TSBはイギリス全土に古くから多数存在していた信託貯蓄銀行の一つであった。この統合の結果、銀行業務から、不動産・住宅、保険へと事業を多角化し、全土に約3100の拠点をもつ小口金融の大手グループに成長した。国内シェアの第2位を誇り、大手スーパーにも銀行・保険の取り扱い窓口を設置している。また傘下に商業銀行のヒル・サミュエルを擁する。海外拠点は南米が強く、オーストラリア、ドイツにも多くの店舗を配置している。
2012年の総資産は9245億5200万ポンド、預金は4269億1200万ポンド、貸出金は5172億2500万ポンド、純資産は439億9900万ポンド。従業員数約10万4000人。なお、2009年1月にイギリスの住宅金融大手HBOS plcを買収し、ロイズTSBグループはロイズ・バンキング・グループLloyds Banking Group plcとなり、イギリス最大手のリテール・バンク(小口取引が主体の銀行)となった。
[上川孝夫・佐藤秀樹]