グロスター(読み)ぐろすたー(英語表記)Gloucester

翻訳|Gloucester

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グロスター」の意味・わかりやすい解説

グロスター
Gloucester

イギリスイングランド南西部,グロスターシャー県県都。グロスター地区を構成する。ブリストルの北北東約 50km,セバーン川下流部に臨む河港都市。セバーン川下流は曲流が著しいため,流路の東側に全長 26kmの航行用運河が建設されており,セバーン川河口三角江(エスチュアリー沿岸シャープネスと直接結ばれる。ローマ時代に植民市グレウムが建設されたところで,ディーン森林とコッツウォールド丘陵に挟まれたセバーン谷にあって地理的条件に恵まれ,アングロ・サクソン時代に聖ピーター修道院(681)を中心に発展,やがてマーシア王国の首都となった。ディーン森林に産する鉄鉱石を用いた鉄冶金は 1066年のノルマン・コンクェスト以前から行なわれ,14世紀には鐘鋳造が盛んになった。また製革業が行なわれ,12~16世紀には織物工業が発達した。今日では鉄道車両,航空機,農業機械などの工業が立地する。聖ピーター修道院を起源とするグロスター大聖堂など古い建築物が多数保存されており,観光業も盛ん。面積 41km2。人口 11万800(2004推計)。

グロスター(公)
グロスター[こう]
Gloucester, Thomas of Woodstock, Duke of

[生]1355.1.7. オックスフォードシャー,ウッドストック
[没]1397.9.9. カレー
イギリスの大貴族。本名トマス・オブ・ウッドストック。エドワード3世の第7子として,1385年グロスター公家を創設。甥の国王リチャード2世に対抗。 88年王の側近を追放して 95年まで王国の実権を掌握したが,リチャードから反逆の陰謀を企てているとみなされ,97年捕えられてカレーに送られ,王の命でひそかに殺された。

グロスター(伯)
グロスター[はく]
Gloucester, Gilbert de Clare, 6th Earl of

[生]1243.9.2.
[没]1295.12.7. モンマス
イギリスの大貴族。1264年バロン戦争でシモン・ド・モンフォールを助け,ルイス戦い(1264.5.14.)に勝ったが,のちシモンから離反して国王派につき,皇太子エドワード(のちのエドワード1世)を強力に支持した。

グロスター
Gloucester

アメリカ合衆国,マサチューセッツ州北東部,アン岬の南岸にある都市。 1623年に建設され,17~18世紀には造船海運漁業中心地として繁栄漁民は遠くグリーンランドやアイスランド方面に出漁した。 19世紀に入り製造業も盛んとなり,また貿易港として発展した。現在では水産加工を中心としている。避暑地としてもにぎわう。人口2万 8716 (1990) 。

グロスター(伯)
グロスター[はく]
Gloucester, Robert, Earl of

[生]1090.3.
[没]1147.10.31.
イングランド王ヘンリー1世庶子。 1122年グロスター伯領を与えられる。スティーブン王治世の内乱で,マティルダを助ける有力貴族としてスティーブンに対抗した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グロスター」の意味・わかりやすい解説

グロスター
ぐろすたー
Gloucester

イギリス、イングランド南西部、グロスターシャー県の県都。人口10万9888(2001)。セバーン川の渡河地点に設けられたローマ時代の駐屯地から発展した古い町で、現在も市内には、ローマ時代の遺構、7世紀の修道院、そのほか、歴史的な建造物が多い。中世には商業中心地として栄え、その後一時沈滞したが、19世紀になって工業が盛んになり、現在は航空機工業、重化学工業、製材業、農業機械工業などが中心になっている。

[井内 昇]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android