改訂新版 世界大百科事典 「ロイター会社」の意味・わかりやすい解説
ロイター[会社]
Reuters Limited
イギリスの通信社。1851年,ドーバー海峡に海底電線が敷設された年にドイツ生れのロイターPaul Julius Reuter(1816-99)がロンドンに開設した通信社。65年株式会社に改組,本社ロンドン。19世紀イギリス連邦の発展とともに栄え,アメリカのAP,UPIなどの通信社が強大になるまでは世界最大の通信社であった。イギリスの国内ニュースの取材は,地方紙が組織する通信社PA(Press Association)が担当,ロイターは国際通信社として世界的に活動している。1872年(明治5),ロイターの記者コリンズHenry M.Collinsは海外通信社の最初の特派員として日本を訪れ,爾来日本の新聞に掲載される外電はもっぱらロイターの電報であった。ロイテル,ルーターあるいは路透社電として掲載されているのがそれである。
1941年,PAとロンドン新聞協会がロイターの株式を折半してトラスト組織になり,その後AAP(オーストラリア),NZPA(ニュージーランド)の各通信社もトラストに加盟するに至って,株式会社ではありながら,実体はイギリス連邦諸国を連ねる国際的な新聞社の協同機関となっている。ロイターは創立以来株式,為替相場など経済通信に力を注ぎ,現在でも一般ニュースのほか経済通信の国際報道に大きな役割を演じている。80年代に入ってから金融市場向けの電子情報サービスが売れ始め,金融,証券などの非メディア系企業顧客からの収入が大半を占めるようになる。92年,イギリスのテレビ映像通信社ビス・ニュースを買い取り,ロイター・テレビとして,ヨーロッパはもとより,日本にまで進出している。名実ともに現在世界最大の国際通信社である。日本では時事通信社が経済ニュースの独占配信権を持っている。
→通信社
執筆者:殿木 圭一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報