ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロテール」の意味・わかりやすい解説
ロテール
Lothaire
[没]986.3.2.
カロリング朝西フランク王(在位 954~986)。Lothar,Lothairとも表記される。ルイ4世の長男として生まれ,父王の死後,周囲からの反対もなく国王に選出された。しかし,その治世の初期はユーグ大公に,のちの 956~965年はおじにあたるケルン大司教ブルーノに権力を握られた。ブルーノの支持は貴重だったが,ブルーノは自分の兄のドイツ王オットー1世や甥にあたるユーグ・カペーらユーグ大公の子らのために影響力を使った。ブルーノの死後地位は弱まり,ユーグ・カペーとはおおかた良好な関係を保ったが,所領はわずかしかなく,封土をめぐる争いが絶えなかった。ドイツ支配下にあるロレーヌ(→ロタリンギア)をわが物にしたいという強い願いを抱き続けたが,976年にロレーヌでオットー2世に対する反乱が起こったとき,これに加勢したことから,オットー2世は下ロレーヌ公国をロテールの不仲の弟シャルルに与えてしまった。また 978年,アーヘンでオットー2世の家族を捕えようとしたが失敗し,報復攻撃を招いた。このときはユーグ・カペーら諸侯の協力を得て撃退に成功したが,さらに 985年,ロレーヌへの 3度目の侵攻を実施。これは目的を達成できなかったばかりでなく,ランス大司教アダルベロンという有力者を,対立するユーグ・カペーの側に回してしまう結果となった。死の床にあってもなお,ロレーヌへの遠征を計画中であった。息子のルイ5世が王位を継いだ。
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