ロベリア(英語表記)Lobelia erinus L.

デジタル大辞泉 「ロベリア」の意味・読み・例文・類語

ロベリア(〈ラテン〉Lobelia)

キキョウ科ロベリア属の植物の総称。普通は観賞用のルリミゾカクシをいい、一年草で葉はへら状。5、6月ごろ、紫・青・白色などの小花を総状につける。花びらは五つに裂けていて、上の2枚が細い。南アフリカの原産。 春》

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精選版 日本国語大辞典 「ロベリア」の意味・読み・例文・類語

ロベリア

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] lobelia )[ 異表記 ] ロベリヤ キキョウ科ミゾカクシ属を示す学名。ふつう同属の一種ルリミゾカクシ(ルリチョウソウ)をさすことが多い。南アフリカ原産の一年草。高さ一〇~二〇センチメートルで、茎は細く、よく枝分れして広がる。葉は長楕円形だが、茎上部では線形になる。花は長さ一~二センチメートル。五~六月に鮮青色、青紫色、白色などの花を開く。花壇などに栽培される。《 季語・春 》 〔医語類聚(1872)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「ロベリア」の意味・わかりやすい解説

ロベリア
Lobelia erinus L.

春の花壇や鉢植えによいキキョウ科の多年草ルリチョウチョウ,ルリミゾカクシともいう。原産地は南アフリカ。高さ15~20cm,茎は株際から多数に分枝して茂り,あるものは地をはう。園芸品種では5~6月に美しい青紫色,暗紅色,ピンク,白などの花を茎頂の総状花序にむらがりつける。花は上唇弁2枚,下唇弁3枚に分かれ,基部は筒状となって,アゲハチョウの形に似る。果実が熟すと微細な種子が小孔からこぼれ出る。種まきは9~10月,凍らない程度で越冬し,春の長日で開花する。鉢植えや花壇には矮性(わいせい)種クリスタル・パレスCrystal Palace(青紫色,銅色葉),ミセス・クリーブランMrs.Clibran(藍色,白目,緑葉),ホワイト・レディWhite Lady(白),プリマ・ドンナPrima Donna(銅赤色)などがよく,つり鉢には匍匐(ほふく)性の品種がよい。地際の茎から発根する性質があるので,植えつけのとき,やや深植えとするとよく繁茂する。日当りのよい湿気の多い場所でよく育ち,夏涼しく冬暖かい所では枯れずに宿根する。

 ミゾカクシ属Loberiaの植物は世界に350種が分布し,カナダ,北アメリカの湿地にはベニバナサワギキョウL.cardinalis L.(英名cardinal flower,scarlet loberia)があり,高さ1mの茎に緋紅色の花をつける。日本の山地の湿地にはサワギキョウが分布し,高さ1mほどになる直立した茎に,総状に青紫色の花をつける。ともに山草として栽培されている。ロベリアソウL.inflata L.(英名Indian tobacco)は北アメリカ原産の一年草で,高さ50~100cmの茎の頂部に多数の花をつける。薬用にされ,また帰化植物にもなっている。ロベリアソウは全草にアルカロイドのロベリンlobelineを含む。ロベリンは百日咳や喘息(ぜんそく)などの呼吸困難に対する呼吸興奮薬,催吐薬とされる。

 なお,ミゾカクシ属は分類学上キキョウ科から分離してミゾカクシ科とされることがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロベリア」の意味・わかりやすい解説

ロベリア
ろべりあ
[学] Lobelia

キキョウ科(APG分類:キキョウ科)ロベリア属の総称。世界に350種以上あるが、一般には、もっとも多く利用されるルリミゾカクシ(ルリチョウチョウ)L. erinus L.をさす。本種は半耐寒性の一年草で南アフリカ原産。高さ15~20センチメートル、原産地では30~40センチメートルになり、宿根する種類もある。葉は無柄で互生し、倒卵形またはへら形、帯紫葉と緑葉とがある。茎はよく分枝して総状花序をつくり、径1.5~2センチメートルの小花を多数開く。花冠は5裂し、上唇の2枚は披針(ひしん)形、下唇の3枚は垂れる。花色は青紫、紅紫、淡青色のほか、青色に白目入り、紫桃色に白目入り、乳白色などがあり、大部分が花壇、鉢植えに利用される。花期は4月から初夏であるが、秋播(ま)きは4月から開花し、3月播きは6~7月咲きとなる。その他の著名種に、長穂大輪の鮮赤色花で暗紅色葉のフルゲンスL. fulgens Willd.、中輪の鮮赤色花で暗紅色葉のカーディナリスL. cardinalis L.、高さ約90センチメートル、濃青色花で緑葉のテヌイオルL. tenuior R.Br.がある。

 繁殖はほとんど実生(みしょう)によるが、早春期に挿芽や株分けもできる。9~10月に播種(はしゅ)してフレーム内で越冬させるか、3月に温床内で播種して育苗する。種子は微細なので、バーミキュライトまたは有機質を含む排水のよい用土を用い箱または鉢に播き、無覆土で底部から吸水させ、発芽まで新聞紙でカバーしておく。花芽ができたころ、株間約15センチメートルで露地花壇に定植する。茎葉が柔らかいので強風雨に注意する。

[吉次千敏 2021年10月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロベリア」の意味・わかりやすい解説

ロベリア
Lobelia

キキョウ科のサワギキョウ属の属名で,世界の熱帯と亜熱帯を中心に約 300種が知られる。日本でも湿地に群生するサワギキョウ (沢桔梗)ミゾカクシ (溝隠)などが自生している。観賞用に単にロベリアの名で呼ばれる植物は南アフリカ原産の L. erinus (和名ルリミゾカクシ) ,北アメリカ原産のベニバナサワギキョウ L. cardinalis,メキシコ原産の L. fulgens,オーストラリア原産の L. tenuiorなどである。日本で最もよく植えられる L. erinusは高さ 10~20cmの一年草で,根もとからよく分枝し,柄のない披針形の葉を互生する。春から初夏に,茎頂に青紫色の花を次々とつける。花冠は浅く5裂して上下2唇形をなし,下唇3片が特に大きくて下に垂れる。花冠の中央部が淡色または白で目立つ。背が低く花が多いので鉢植や花壇の縁植えなどに好まれる。

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百科事典マイペディア 「ロベリア」の意味・わかりやすい解説

ロベリア

全世界に分布するキキョウ科の一属で,300種以上がある。一〜多年草,低木,ときに高木状になる種もある。日本に自生するサワギキョウも含まれるが,園芸的に〈ロベリア〉と呼んで栽培されるのは以下の種が多い。ルリチョウソウは南アフリカ原産で,園芸上は秋まき一年草として扱う。茎は多く分枝し,高さ15〜20cm,葉は長楕円〜線形となる。花は上唇(じょうしん)2枚が小さく,下唇(かしん)3枚は大きく広がり,春〜初夏に開花。園芸品種としては矮(わい)性品種に優良なものが多く,花色も白・青紫・赤色など豊富。オオロベリアソウは北米原産の多年草で,高さ60〜90cmになる。葉は卵形で,濃青色の花が密な総状につく。白花や矮性の園芸品種もある。鉢植,花壇植などとして観賞する。また,近年は切花用として赤花をつける一代交雑種もつくり出されている。

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