ロベリア(読み)ろべりあ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロベリア」の意味・わかりやすい解説

ロベリア
ろべりあ
[学] Lobelia

キキョウ科(APG分類:キキョウ科)ロベリア属の総称。世界に350種以上あるが、一般には、もっとも多く利用されるルリミゾカクシルリチョウチョウL. erinus L.をさす。本種は半耐寒性の一年草で南アフリカ原産。高さ15~20センチメートル、原産地では30~40センチメートルになり、宿根する種類もある。葉は無柄で互生し、倒卵形またはへら形、帯紫葉と緑葉とがある。茎はよく分枝して総状花序をつくり、径1.5~2センチメートルの小花を多数開く。花冠は5裂し、上唇の2枚は披針(ひしん)形、下唇の3枚は垂れる。花色は青紫、紅紫、淡青色のほか、青色に白目入り、紫桃色に白目入り、乳白色などがあり、大部分花壇鉢植えに利用される。花期は4月から初夏であるが、秋播(ま)きは4月から開花し、3月播きは6~7月咲きとなる。その他の著名種に、長穂大輪の鮮赤色花で暗紅色葉のフルゲンスL. fulgens Willd.、中輪の鮮赤色花で暗紅色葉のカーディナリスL. cardinalis L.、高さ約90センチメートル、濃青色花で緑葉のテヌイオルL. tenuior R.Br.がある。

 繁殖はほとんど実生(みしょう)によるが、早春期に挿芽株分けもできる。9~10月に播種(はしゅ)してフレーム内で越冬させるか、3月に温床内で播種して育苗する。種子は微細なので、バーミキュライトまたは有機質を含む排水のよい用土を用い箱または鉢に播き、無覆土で底部から吸水させ、発芽まで新聞紙でカバーしておく。花芽ができたころ、株間約15センチメートルで露地花壇に定植する。茎葉が柔らかいので強風雨に注意する。

[吉次千敏 2021年10月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロベリア」の意味・わかりやすい解説

ロベリア
Lobelia

キキョウ科のサワギキョウ属の属名で,世界の熱帯亜熱帯を中心に約 300種が知られる。日本でも湿地に群生するサワギキョウ (沢桔梗)ミゾカクシ (溝隠)などが自生している。観賞用に単にロベリアの名で呼ばれる植物は南アフリカ原産の L. erinus (和名ルリミゾカクシ) ,北アメリカ原産のベニバナサワギキョウ L. cardinalis,メキシコ原産の L. fulgens,オーストラリア原産の L. tenuiorなどである。日本で最もよく植えられる L. erinusは高さ 10~20cmの一年草で,根もとからよく分枝し,柄のない披針形の葉を互生する。春から初夏に,茎頂に青紫色の花を次々とつける。花冠は浅く5裂して上下2唇形をなし,下唇3片が特に大きくて下に垂れる。花冠の中央部が淡色または白で目立つ。背が低く花が多いので鉢植や花壇の縁植えなどに好まれる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android