ミゾカクシ(読み)みぞかくし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミゾカクシ」の意味・わかりやすい解説

ミゾカクシ
みぞかくし / 溝隠
[学] Lobelia chinensis Lour.

キキョウ科(APG分類:キキョウ科)の多年草別名アゼムシロ(畦莚)ともいう。茎は高さ3~15センチメートル。葉は互生し、披針(ひしん)形。6~10月、葉腋(ようえき)に長い花柄を出し、淡紅紫色を帯びた白色花を上向きに開く。花冠は5裂し、上側の2片は左右に開出する。丘陵山地の畦(あぜ)や溝、湿地に生え、日本、および朝鮮半島、中国、インド、マレーシアに分布する。名は、溝を覆うほど繁茂するのでいい、別名は田の畦に群生するようすを莚(むしろ)に見立てたものである。中国では解毒、利尿薬とするが、日本では利用しない。

 ミゾカクシ属は世界に約400種、日本に6種あり、ミゾカクシ亜科に属すが、この亜科は独立のミゾカクシ科Lobeliaceaeとする考えもある。

[高橋秀男 2021年10月20日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミゾカクシ」の意味・わかりやすい解説

ミゾカクシ(溝隠)
ミゾカクシ
Loberia chinensis

キキョウ科の小型の多年草で,アゼムシロともいう。アジアの暖温帯から熱帯まで広い分布をもつ。日本全土の田のあぜや山間の湿地に生える。茎は細く,高さ5~15cmで全体に無毛である。葉は長さ1~2cmの披針形で,左右2列に互生し低い鋸歯があって柄はほとんどない。夏から秋まで,長い柄のある紅紫色を帯びた白色の小花を次々と葉腋に単生する。花冠は5裂し,裂片は一方にかたより左右相称となる。 蒴果は短い棍棒状で,種子は凸レンズ状で赤褐色である。

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