改訂新版 世界大百科事典 「ローデ」の意味・わかりやすい解説
ローデ
Erwin Rohde
生没年:1845-98
ドイツの古典学者。ハンブルクの出身だが,F.リッチュルを慕ってライプチヒ大学に進んだ。ここで同窓のニーチェと親交を結び,《悲劇の誕生》をめぐる論争ではウィラモーウィツ・メレンドルフに対抗してニーチェを擁護する論陣を張った。その後ドイツ各地の大学講師などを経て,1886年からハイデルベルク大学教授になった。ニーチェに触発され,晩年の著作《プシュケー》(1890-94)で原初的な霊魂崇拝の信仰とホメロスの叙事詩の神話世界との間の隔りを検討し,古代ギリシア宗教の深層を追究したことは広く知られている。しかしそれよりもむしろ,ローデは,《スイダス》の文学史記事の伝承を検討した諸論考(1878ほか)や,後期のギリシア文学に小説(ロマンス)という形式が成立してくる事情を考察した《ギリシア小説とその前身》(1876)などにより,詳細な資料の徹底的検討と明確な叙述を心がけた古典学者として評価が定まっている。
執筆者:片山 英男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報