日本大百科全書(ニッポニカ) 「ローレンツ曲線」の意味・わかりやすい解説
ローレンツ曲線
ろーれんつきょくせん
Lorenz curve
アメリカの統計学者M・O・ローレンツによって1905年の論文中で提示された、所得分布の不平等度を示すものとされる曲線。社会がn人で構成されるとし、それぞれの所得を低いほうから高いほうへ順に並べる。 の横軸に低所得者のほうから順に累積人員比率をとり、縦軸に対応する所得額の累積比率をとって、両者の対応点を順次に結んでいくと、nが大となるにつれて のような弓型の曲線が描かれる。これが所得分布に関するローレンツ曲線とよばれるものである。ここで、n人の所得がすべて等しい場合、すなわち、所得分布が完全に平等である場合には、直線OPとなり、逆に、最後の1人だけが所得を得て他の人はすべて所得がゼロである場合、すなわち、所得分布が完全に不平等である場合には、折れ線OAPとなる。したがって、所得分布がこれらの両極端の中間にある通常の場合には、その不平等度は、直線OPとその所得分布の弓型とで囲まれた部分の面積の大きさによって測られることになる。
[高島 忠]