ジニ係数(読み)ジニけいすう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジニ係数」の意味・わかりやすい解説

ジニ係数
ジニけいすう
Gini coefficient

所得や資産の不平等あるいは格差をはかるための尺度の一つ。名称は,これを提案したイタリアの統計学者コラド・ジニにちなむ。ジニ係数算出にはローレンツ曲線が用いられる。ローレンツ曲線は,所得の場合,対象者を低所得者から高所得者へ順に並べ,それを累積分布として表したものである。所得の累積比率を縦軸,人数の累積比率を横軸とすると,全員の所得が同じとなる完全平等社会は,累積分布が 45°線で表される。それに対し,1人が所得を独占し,残りの人々の所得が 0となる完全不平等社会では,累積分布が反 L字型となる。ジニ係数とは,45°線とローレンツ曲線で囲まれる部分の面積を 2倍したものであり,完全平等社会であれば 0,完全不平等社会であれば 1となる。日本のジニ係数は,2009年の全国消費実態調査によれば 0.283である。調査年は異なるが,2004年のルクセンブルク所得研究 LISによると,アメリカ合衆国は 0.372,イギリスは 0.345であり,日本は経済協力開発機構 OECD諸国のなかでは中位に属している。一方時系列でみると,日本のジニ係数は 1984年 0.252,1994年 0.265,2004年 0.278と上昇傾向にある。この傾向は OECD諸国でも観測されており,所得格差拡大というよりも,高齢化の進展によるところが大きいと考えられる。(→所得分布

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジニ係数」の意味・わかりやすい解説

ジニ係数
じにけいすう

社会における所得分配の平等・不平等を計る指標。0から1までの数字で示され、0に近づくほど平等、1に近づくほど不平等で格差が大きいことを意味する。0であれば、社会のなかの全員、皆完全に同じ所得であり、逆に1であれば、一人が社会の所得のすべてをひとり占めしているような状態となる。

 日本では厚生労働省が3年ごとに公表している所得再分配調査のなかでジニ係数を計算している。2005年(平成17)調査によると、ジニ係数は0.5263と、過去最高を記録した。近年、非正規労働者の増加などで若い世代の所得格差が広がっているといわれているが、いまのところ、格差が広がっている最大の原因は、もともと所得格差の大きい高齢者が増えたためとされている。社会保障制度税制によって国民の所得を再分配した後のジニ係数は0.3873で前回調査と比べほぼ横ばいとなっている。日本のジニ係数の大きさは先進諸国のなかでは中位に位置するとされている。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android