所得や資産の均等の度合いを表す指標。イタリアの統計学者ジニが考案した。全員の富が全く同じであれば「0」、数値が大きくなるほど格差が広がり、全ての富が1人に集中すると「1」となる。所得格差の国際比較で広く用いられる。日本の近年の調査では、当初所得に社会保障給付などを加味した「再分配後の所得」は0・37~0・38前後の水準で推移している。
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所得や資産の分布の不平等を計測するためにイタリア人ジニC.Giniが1936年に考案した一指標。ジニ集中指数Gini's coefficient of concentrationともいう。所得yiが所得の低い順に(y1,y2,……,yn)で与えられているとき,ジニ係数Gはで定義された値である。すなわちジニ係数とは,所得の組合せ(yi,yj)をすべての構成員について考え,その差(絶対値)の平均額を平均所得μで除した値の半分である。半分にするのは,所得のペア(yi,yj)と(yj,yi)の所得差が双方ともに考慮されているからにほかならない。したがって,たとえばジニ係数が0.4に等しいとき,任意に選びとった2人の間の所得差は全体としてみれば平均所得の40%に相当していることになる。ジニ係数は完全平等のとき最小値0をとり,所得が1人に集中している完全不平等のとき最大値(1-1/n)をとる。
ジニ係数はローレンツ曲線を用いて図示可能である。すなわち均等分布線(対角線)とローレンツ曲線で囲まれた月形の面積の2倍にジニ係数は等しい。なおローレンツ曲線が交差する場合,ジニ係数とは異なる不平等の順序づけが他の指標(たとえば変動係数,これは標準偏差を平均所得で除した値)を用いると可能である。他の指標と比較すると,ジニ係数は中間所得階層の所得の動きに最も敏感であることが知られている。
ジニ係数は産業の集中度や貧困の程度を計測する場合にも転用されている。なおジニ法則Gini's lawは分布の型を経験に基づいて特定化したものであり,ジニ係数とは無関係である。
→所得分布 →パレート法則
執筆者:高山 憲之
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社会における所得分配の平等・不平等を計る指標。0から1までの数字で示され、0に近づくほど平等、1に近づくほど不平等で格差が大きいことを意味する。0であれば、社会のなかの全員、皆完全に同じ所得であり、逆に1であれば、一人が社会の所得のすべてをひとり占めしているような状態となる。
日本では厚生労働省が3年ごとに公表している所得再分配調査のなかでジニ係数を計算している。2005年(平成17)調査によると、ジニ係数は0.5263と、過去最高を記録した。近年、非正規労働者の増加などで若い世代の所得格差が広がっているといわれているが、いまのところ、格差が広がっている最大の原因は、もともと所得格差の大きい高齢者が増えたためとされている。社会保障制度や税制によって国民の所得を再分配した後のジニ係数は0.3873で前回調査と比べほぼ横ばいとなっている。日本のジニ係数の大きさは先進諸国のなかでは中位に位置するとされている。
[編集部]
(伊東光晴 京都大学名誉教授 / 2007年)
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