ワッセナー協約(読み)ワッセナーキョウヤク(英語表記)Wassenaar Arrangement

デジタル大辞泉 「ワッセナー協約」の意味・読み・例文・類語

ワッセナー‐きょうやく〔‐ケフヤク〕【ワッセナー協約】

ワッセナー‐アレンジメント

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共同通信ニュース用語解説 「ワッセナー協約」の解説

ワッセナー協約

地域の安全を脅かす恐れがある武器や関連物品、技術がテロ集団などに渡るのを防ぐため、各国の輸出管理体制を整える国際的な枠組み。共産圏諸国の軍事力強化につながる物品と技術の輸出を禁じた対共産圏輸出調整委員会(ココム)が冷戦後に解散、その流れをくみ1996年に発足した。事務局はオーストリアウィーンにあり、日本や米国、英国など42カ国が参加。毎年開く総会などで規制対象品目を見直す。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワッセナー協約」の意味・わかりやすい解説

ワッセナー協約
わっせなーきょうやく
Wassenaar Arrangement

ココム(対共産圏輸出統制委員会)にかわって冷戦後の通常兵器および汎用(はんよう)品・技術の輸出を監視する協約。1994年のココム解散以降、約2年間の議論を経て、1996年7月締結された。40か国が参加。事務局をウィーンに置く。旧ソ連・東欧諸国からもロシアチェコなど13か国が参加している。ワッセナーは協約の基本合意をしたオランダの都市の名前。東西対立にかわって、地域紛争やテロ防止が安全保障上の重要課題となったことに対応して、武器貿易や、精密工作機械やコンピュータなど武器に転用できる汎用品、技術の輸出を規制する内容。規制自体は各国政府が行うが、規制対象品目の輸出実績を年2回、事務局に報告する。

大井 誠]

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知恵蔵 「ワッセナー協約」の解説

ワッセナー協約

通常兵器と兵器応用可能汎用技術(デュアルユース技術)の移転規制協定。冷戦時代の対共産圏兵器・高度技術移転規制COCOMは冷戦の終結で意義を失う一方、通常兵器とデュアルユース技術の拡散が大きな問題となったため、1993年にハーグでCOCOMメンバー17カ国代表が会合して、新しい多国間協定の締結が合意された。94年3月にオランダのワッセナーで開催された会合でCOCOMの廃止と新協定の設立が正式に決まり、ワッセナー協約と呼ばれる。ロシアの加盟問題で難航したが、96年7月にウクライナ、ブルガリアなども加えた33カ国で発足。通常兵器の移転状況の情報交換が行われ、移転制限対象品、技術を規定したコントロールリストが作られている。2004年12月のウィーン総会では、テロリストへの兵器や技術移転を防止、テロに使用される可能性が高い携行式地対空ミサイル(MANPADS)の規制を強化、既存の規制内容の説明をより分かりやすい「ユーザー・フレンドリーな」記述に改めるなどの合意が成立した。また、同年10月には、未加盟国、NGO、学会などを含めた拡大会合(アウトリーチ・セミナー)が初めて開催された。

(江畑謙介 拓殖大学海外事情研究所客員教授 / 2007年)


ワッセナー協約

国際的な武器輸出管理体制の1つで冷戦期の対共産圏輸出統制委員会(ココム)に代わるもの。1996年7月、ロシアなどを含む33カ国で発足。通常兵器と軍民両用技術の2つのガイドラインを設定、うち輸出許可が必要な品目は114。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

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百科事典マイペディア 「ワッセナー協約」の意味・わかりやすい解説

ワッセナー協約【ワッセナーきょうやく】

正式名称は〈通常兵器などの輸出を管理するワッセナー協約〉。ワッセナー・アレンジメント,ワッセナー取決めとも。また通称,新COCOM。1996年7月に発足,11月に発動。COCOMに代わる冷戦後の戦略物資輸出管理機構。事務局はウィーン。テロ支援国など危険視される国(特定の国名は挙げられていない)に対して,通常兵器やその関連製品・技術を輸出しないことを原則に管理体制を構築することを目的とする。原加盟国は,日・米・欧の旧COCOM参加国に加えて韓国やロシア,ウクライナ,ブルガリアなどの33ヵ国,2012年現在41ヵ国。対象品目は約110で,COCOM輸出規制対象リストに比べ,ほとんどの分野で規制が緩和されている。ただし法的拘束力がない点,中国が未加入の点などが課題となっている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワッセナー協約」の意味・わかりやすい解説

ワッセナー協約
ワッセナーきょうやく
Wassenaar Arrangement

平和を乱す恐れのある国に対する通常兵器や関連技術の輸出規制を目的とした国際輸出管理機構。冷戦時代の対共産圏輸出統制委員会 COCOMが 1994年3月に廃止されたのを受けて,96年7月に設定され,11月に発効した。旧ココム加盟国にロシア,韓国,旧東欧諸国を含む 33ヵ国が参加,輸出規制となる対象品目は通常兵器のほかスーパーコンピュータや精密工作機械などの製品や技術約 110品目。輸出規制の対象国としては特定してはいないが,事実上イラン,イラク,リビア,北朝鮮を想定している。輸出可否の判断は各加盟国の判断に任せ,規制に触れる行為があった場合の事務局への通報も自発性にゆだねられるなど法的な拘束力や罰則はない。

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