ワッセナー協約(読み)わっせなーきょうやく(英語表記)Wassenaar Arrangement

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワッセナー協約」の意味・わかりやすい解説

ワッセナー協約
わっせなーきょうやく
Wassenaar Arrangement

ココム(対共産圏輸出統制委員会)にかわって冷戦後の通常兵器および汎用(はんよう)品・技術の輸出を監視する協約。1994年のココム解散以降、約2年間の議論を経て、1996年7月締結された。40か国が参加。事務局をウィーンに置く。旧ソ連・東欧諸国からもロシアチェコなど13か国が参加している。ワッセナーは協約の基本合意をしたオランダの都市の名前。東西対立にかわって、地域紛争やテロ防止が安全保障上の重要課題となったことに対応して、武器貿易や、精密工作機械やコンピュータなど武器に転用できる汎用品、技術の輸出を規制する内容。規制自体は各国政府が行うが、規制対象品目の輸出実績を年2回、事務局に報告する。

大井 誠]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワッセナー協約」の意味・わかりやすい解説

ワッセナー協約
ワッセナーきょうやく
Wassenaar Arrangement

平和を乱す恐れのある国に対する通常兵器や関連技術の輸出規制を目的とした国際輸出管理機構。冷戦時代の対共産圏輸出統制委員会 COCOMが 1994年3月に廃止されたのを受けて,96年7月に設定され,11月に発効した。旧ココム加盟国にロシア,韓国,旧東欧諸国を含む 33ヵ国が参加,輸出規制となる対象品目は通常兵器のほかスーパーコンピュータや精密工作機械などの製品や技術約 110品目。輸出規制の対象国としては特定してはいないが,事実上イラン,イラクリビア北朝鮮を想定している。輸出可否の判断は各加盟国の判断に任せ,規制に触れる行為があった場合の事務局への通報自発性にゆだねられるなど法的な拘束力や罰則はない。

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