アイット-ベン-ハドゥの集落(読み)アイットベンハドゥのしゅうらく

百科事典マイペディア の解説

アイット-ベン-ハドゥの集落【アイットベンハドゥのしゅうらく】

モロッコ中部アトラス山脈の南側にある集落。この地域には先住民ベルベル人が築いた集落が多数あり,その中でも景観がよく有名なのがこの集落である。孤立した集落であるため,野盗などの外敵から住民,財産を守る必要があり,城壁のような高壁で囲まれている。防衛観点から集落への入り口は1ヵ所のみで,内部は通路が迷路化しており,篭城(ろうじょう)に備えた食料倉庫が設けられている。外壁や集落内部のいたる所には銃眼があり,集落全体が要塞化している。建材には日干し煉瓦が用いられ,壁には独特の模様が施されている。現在も居住している住人がおり,昔と変わらない建築様式で日干し煉瓦を用いて壁を修復しながら生活を続けている。1987年世界文化遺産に登録。

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世界遺産詳解 の解説

アイットベンハドゥのしゅうらく【アイット-ベン-ハドゥの集落】

1987年に登録された世界遺産(文化遺産)で、モロッコ中部のアトラス山脈の山中にある集落遺跡。この地は、かつて隊商都市として栄え、カスバと呼ばれる建造物が多く建てられた。集落は孤立しているので、盗賊などの略奪から財産などを守るために、集落全体が要塞化した一つの建造物になっている。塔の壁には銃眼が施され、丘の頂には籠城に備えて穀物倉庫が設けられている。建物は日干しレンガで造られ、壁には独特の模様が施されている。古代の建築技法を伝える貴重な文化遺産であることが評価され、世界遺産に登録された。映画『アラビアロレンス』『グラディエーター』のロケ地としても知られている。◇英名はKsar of Ait-Ben-Haddou

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