アサヒビール(読み)あさひびーる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アサヒビール」の意味・わかりやすい解説

アサヒビール(株)
あさひびーる

大手ビール会社。1949年(昭和24)の過度経済力集中排除法による大日本麦酒(ビール)の2社分割の際に朝日麦酒として設立されたが、その母体は、1889年(明治22)に設立された、大阪麦酒で、アサヒ商標をもっていた。朝日麦酒は1951年に「バヤリースオレンジ」、1958年に日本初の缶入りビール、1969年にも初のビールギフト券などの新商品・新企画を次々に出し、積極的に事業展開をしたにもかかわらず、ビール業界でのシェアが分割時の35%から低下を続け、1980年には10%にまで下がった。住友銀行(現三井住友銀行)から村井勉(つとむ)(1918―2008)を社長に迎えて1985年にCIコーポレート・アイデンティティ)導入を宣言し、1987年発売の「アサヒスーパードライ」が大ヒットして、シェアも25%に上昇、業界第2位の地位を揺るぎないものとし、1989年(平成1)に社名もカタカナのアサヒビールとした。その後も麒麟麦酒キリンビール)とシェア首位を争っており、ワイン、食品、医薬品などにも事業を多角化している。子会社ニッカウヰスキーがある。資本金1825億円(2007)、売上高1兆0307億円(2007)。

[中村青志]

『アサヒビール株式会社社史資料室編『Asahi 100』(1990・アサヒビール)』

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百科事典マイペディア 「アサヒビール」の意味・わかりやすい解説

アサヒビール[株]【アサヒビール】

1889年設立の大阪麦酒(アサヒの商標はこのとき以来)が1906年大日本麦酒合併,1949年集中排除法により日本麦酒(現サッポロビール)とともに朝日麦酒として設立。1989年現社名に改称。1988年発売の〈スーパードライ〉の売上げが順調でビール市場でのシェアは3割を超え,1998年のビール年間出荷数量では麒麟麦酒を抜いて首位の座についた。ビール販売低迷の昨今も,焼酎や低アルコール飲料で採算性向上。子会社にニッカウヰスキーアサヒ飲料等がある。本社東京,工場名古屋,吹田ほか。工場の環境対策にも力を入れ,1998年に全工場の廃棄物100%再資源化を達成した。1999年3月には名古屋工場で日本で初めてのノンフロン化を実現。2011年7月純粋持株会社制へ移行しアサヒグループホールディングスとなる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アサヒビール」の意味・わかりやすい解説

アサヒビール

ビールメーカー。1889年設立の大阪麦酒会社(1893大阪麦酒に改組)が前身。1906年大阪麦酒,日本麦酒,札幌麦酒の 3社合同により大日本麦酒設立,1949年大日本麦酒分割により朝日麦酒として新発足した。財界の中心人物の一人,山本為三郎を社長に 1962年東京大森工場(2002製造停止)を新設,1964年子会社北海道朝日麦酒(1994アサヒビールに合併)を設立。その後 1966年柏工場,1973年名古屋工場,1979年福島工場完成。日本最初の缶入りビールの発売,スタイニー・スタイルの小瓶の発売など積極策を展開。1982年エビオス薬品工業を合併し,医薬事業に進出。1987年に発売した辛口の生ビール,アサヒスーパードライがヒットし,シェアを急拡大した。1989年社名をアサヒビールに変更。2011年純粋持株会社に移行し,社名をアサヒグループホールディングスに変更,酒類事業は会社分割により新法人のアサヒビールが引き継いだ。2012年カルピスを買収。

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世界大百科事典(旧版)内のアサヒビールの言及

【ビール】より

…ただし,オリオンビールの生産量は少量であるので,実際は4社といってよい。とくにトップの麒麟麦酒のシェアは1970年代前半から60%を超え(アサヒビールなどの追上げもあり,90年代に50%に低下したものの),ガリバー型寡占の典型例とされる。ビール工業が寡占化している原因としては,(1)既存のブランドが確立していて,新しい販売網を作りあげることが困難なこと,(2)装置産業であるため,大規模な設備投資が必要とされることなどがあり,新規参入が困難となっている。…

※「アサヒビール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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