日本大百科全書(ニッポニカ) 「アセンブラ」の意味・わかりやすい解説
アセンブラ
あせんぶら
assembler
コンピュータにおける言語処理のためのプログラムの一種。現在のコンピュータでは、プログラムは、二進法で表現される命令とデータの集まり(機械語という)として記憶装置に置かれ、実行される。しかし、この機械語を用いてプログラムを書くことは煩わしいため、機械語の各命令を記号表現し、その記号表現されたプログラムをコンピュータ自身によって機械語に変換させる方法が開発された。この記号的にプログラムを書く言語を一般にアセンブリ言語(あるいはアセンブラ言語)とよび、アセンブリ言語を機械語に変換するプログラムのことを記号アセンブラ、あるいは単にアセンブラとよんでいる。アセンブラでは、命令はニーモニックnemonicとよばれる記号で表され、命令が操作する記憶位置は数値番地ではなく記号番地を用いることができるうえ、領域の割付けなどの指定をする機能ももったため、プログラミングの作業が便利となった。1950年代に入ると、より自然な人間のことば(英語)に近い表現や数学の式を用いてプログラムが書けるコンパイラ言語が開発され、多くのプログラムはコンパイラ言語を用いて書かれるようになったが、一方、アセンブリ言語は機械のもつ命令や機能をより細かく記述できるため、システムプログラムなどでは根強く利用されている。
[石井 博]