アフロアジア語族(読み)アフロアジアごぞく

精選版 日本国語大辞典 「アフロアジア語族」の意味・読み・例文・類語

アフロ‐アジア‐ごぞく【アフロアジア語族】

  1. 〘 名詞 〙 中東地域を中心アフリカ・アジア両大陸にまたがって分布する互いに親族関係にある可能性が強い諸言語の総称セムハム語族とも。アラビア語エジプト語、チュニジア語、アルジェリア語、モロッコ語、ハッサン語、エチオピア語などが含まれる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界の主要言語がわかる事典 「アフロアジア語族」の解説

アフロアジアごぞく【アフロアジア語族】

北アフリカから西アジアにかけて分布する語族。1950年にアメリカの言語学者グリーンバーグが、従来のセムハム語族の諸言語にチャド語派を加え、新たな概念として提唱した。セム語派(セム語族とも:アラビア語ヘブライ語など、アッカド語フェニキア語などの古代語も含まれる)、エジプト語派(古代エジプト語コプト語が含まれるが死語)、ベルベル語派(シルハ語・トゥアレグ語など)、クシュ語派(ソマリ語・ガッラ語など)、チャド語派(ハウサ語など)の5つの語派に分類される。◇英語でAfro-Asiatic

出典 講談社世界の主要言語がわかる事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アフロアジア語族」の意味・わかりやすい解説

アフロ=アジア語族
アフロ=アジアごぞく
Afro-Asiatic languages

アフリカ北部および隣接するアジアに約2億人以上の話し手をもつ諸言語が同系であるとして設定された語族。次の5語派から成り立つ。 (1) セム語派 東方セム語のアッカド語 (死語) ,西方セム語のヘブライ語,アラビア語,エチオピアアムハラ語ティグリニャ語など。 (2) エジプト語派 古代エジプト語とその後裔コプト語から成るが,16世紀にアラビア語に滅ぼされた。 (3) ベルベル語派 南モロッコのシュレ語,アルジェリアのゼナ語など。 (4) クシ語派 ソマリ語,ガラ語などアフリカ北東部で話される。 (5) チャド語派 ハウサ語が代表で,共通語でもあり約 600万人。以前は (2) ~ (4) をまとめてハム語族とし,セム語族に対立させたが,5語派対立というのが最近の考えである。なお,この語族の成立に疑いをいだく学者もある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アフロアジア語族」の意味・わかりやすい解説

アフロ・アジア語族
あふろあじあごぞく

アメリカの言語学者グリーンバーグJ. H. Greenbergの提唱した名称。セム語派(アラビア語、ヘブライ語、アラム語、アムハラ語、ティグリニャ語、ティグレ語、グラゲ語など)、エジプト語派(死語。コプト語など)、ベルベル語派(タマジグト語、リフ語、カビール語、トゥアレグ語など)、クシ語派(ベジャ語、シダモ語、アファール語、ガラ語、ソマリ語、レンディーレ語、イラク語など)の従来セム・ハム語族とよばれてきたものに、ブラック・アフリカ最大の言語の一つであるハウサ語、およびその周辺の諸言語(これらをまとめてチャド語派とよぶ)を付け加えたもの。ただし、これらの系統論的研究には、いまなお種々の問題点が残されている。

[湯川恭敏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「アフロアジア語族」の意味・わかりやすい解説

アフロ・アジア語族 (アフロアジアごぞく)
Afro-Asiatic

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「アフロアジア語族」の意味・わかりやすい解説

アフロ・アジア語族【アフロアジアごぞく】

ハム・セム語族

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のアフロアジア語族の言及

【アフリカ】より

…グリーンバーグは,大量の資料と新しい言語学の知識を使い分けて,過去のマインホフやウェスターマンなどの分類研究の再検討を行い,アフリカ諸語分類表をつくりあげることによって,決定的なものではないとしても,一つの大きな目安を立てることに成功した。 グリーンバーグによれば,アフリカ大陸内には次の四つの語族,ニジェール・コルドファン語族Niger‐Kordofanian,ナイル・サハラ語族Nilo‐Saharan,アフロ・アジア語族Afro‐Asiatic,コイサン語族Khoisanが認められるという。
[ニジェール・コルドファン語族]
 アフリカ大陸内のみに見いだされる語族で,サハラ以南のほとんどの地域を覆っている点で,アフリカを代表する一大語族である。…

【ハム・セム語族】より

…19世紀以後,ハム諸語とセム諸語とが同系であるとの想定の下に与えられた名称。しかし,アラビア半島を中心とするセム語族と北アフリカの〈ハム語族〉(ハム語)とをハム・セム語族の二大語派とする通説は現在では否定されており,誤解を招きやすいこの名称の代案として,紅海語Erythraean,アフロ・アジア語族Afro‐Asiatic(1950年,アメリカの言語学者J.グリーンバーグによる)等の呼称が提唱されている。なお,今日学界に多くの賛同者を見いだしている,グリーンバーグによる名称・分類法に関しては,〈アフリカ〉の項目中の[言語]の記述を参照されたい。…

※「アフロアジア語族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android