精選版 日本国語大辞典 「アブサン」の意味・読み・例文・類語
アブサン
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ニガヨモギを主体に種々の薬草,香草類をブランデーなどのスピリッツに配合し,再蒸留して造る酒。一般にはリキュールに分類。名称は,ニガヨモギのラテン名アブシンチウムに由来する。やや苦みのある強烈な酒で,緑色を帯びているが,水を加えると乳白色ににごる。アルコール分65~70%。1730年にフランスの医師ピエール・オルディネールによって創製され,97年スイスに創立されたペルノー・フィス社から発売された。その後,解熱用などの薬酒として用いられていたが,麻酔的な酔い心地から愛好者がふえ,1890年代の退廃的雰囲気の中でもてはやされたが,中毒症状を呈するものが続出したため,スイスでは1908年に製造と販売を禁止,15年フランスでも禁止された。その後はニガヨモギを用いず,アルコール分の低い代用品が造られている。
執筆者:大塚 謙一
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アニス系の香りをもつリキュール。18世紀の後半フランスの医師オルジネールが創製したといわれる。本来はアブサン(ニガヨモギ)を用いるが、その成分には習慣性の毒性があるため、欧米諸国では使用が禁止されていたが、その後、条件付きで承認されている。最近ではアニスの実がおもに使用され、これに、カンゾウ(マメ科)、ヤナギハッカ(シソ科)、コエンドロ(セリ科)などの草根木皮類十数種をアルコール分85~90%のスピリッツで浸出してつくる。アルコール分は70~75%あり、緑色の辛口のもので、加水すれば白濁する。
[秋山裕一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…また,ローマ時代から婦人病などの民間薬として栽培された。枝葉に香料を加え,蒸留してアルコールに溶解させたものがアブサンである。苦味配糖体であるアブシンチンabsinthinを含み,大量に摂取すると神経が麻痺するという。…
…したがって薬草を酒に浸けこみ薬酒とする技術も古くから開発された。ディオスコリデスの《薬物誌》にみえる例では,白い海藻をブドウ酒に入れ3ヵ月間放置して作る海藻酒(水腫,黄疸,脾臓病薬),過熟しないヨウナシをナナカマド類の実とともにブドウ酒に入れたナシ酒(胃病薬),バラの花を乾燥させてから粉砕し,ブドウ酒に加えたバラ酒(下痢止め),松やにを樹皮とともに細かく刻んで調合したロジン酒(咳止め,浣腸剤),ニガヨモギをブドウ酒に入れて作ったアブサン(肝臓病,黄疸,ヒポコンドリーに有効)など約50種を数える。また野生のキュウリなどを混ぜて作った堕胎酒も載せられている。…
※「アブサン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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