アブビル文化(読み)アブビルぶんか

改訂新版 世界大百科事典 「アブビル文化」の意味・わかりやすい解説

アブビル文化 (アブビルぶんか)

北フランス,アブビルAbbevilleのソンム川高位段丘の遺跡を標準遺跡とする前期旧石器時代文化。いわゆるハンド・アックスをもつヨーロッパの石器文化の最古に位置づけられる。共伴する動物相を根拠として,第四紀の古い部分,おそらくミンデル氷河期に属する文化と考えられている。ただ確実にこの文化にあてられる遺跡は極めて少なく,遺物も二次堆積層で,しばしば沖積層から発見される。したがって文化的特色はよくわかっていない。特色的な石器のハンド・アックスは,大きな剝離で整形され,その刃部(稜部)はジグザグ状を呈し,製作時のハンマーに石が用いられたことを示している。握りの部分とするため,一部に素材の原礫面が残されている。この文化は最初モルティエによってシェル文化と命名されたが,提示されたシェルChelle遺跡の遺物が二次堆積のものであったため,H.ブルイユは標準遺跡をアブビルに変えたのである。現在では,シェル文化の名は,アフリカの一部について用いられるだけである。
→シェル・アシュール文化
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百科事典マイペディア 「アブビル文化」の意味・わかりやすい解説

アブビル文化【アブビルぶんか】

前期旧石器時代前半の文化。フランスのアブビルAbbeville遺跡を標準に設定された。従来シェル文化と呼び,第1間氷期に位置するといわれていたが,現在ミンデル氷期IとIIの間の亜間氷期に位置するとされる。石核石器系の文化であるが,剥片(はくへん)石器も伴出,石器はフリント製のハンド・アックスで両面からの打欠きは荒く,周縁がジグザグ状を呈し,原石の自然面が残っている場合が多い。西欧,アフリカからインドにわたるユーラシア西部に広く分布。
→関連項目アフリカ

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最新 地学事典 「アブビル文化」の解説

アブビルぶんか
アブビル文化

Abbevilliean culture

Abbevillean culture フランスSomme県Abbevilleの,河床からの比高45mのSomme段丘出土の石器群を示準的遺物とする。ギュンツ/ミンデル間氷期,約40万年前に始まったと考えられ,アシュール文化に先立つ。不規則な稜線と礫面を残す基部をもつ粗雑な両面加工石器,鋸(きよ)歯状石器,ノッチを特徴とする。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アブビル文化」の意味・わかりやすい解説

アブビル文化
あぶびるぶんか
Abbevillien

北フランス、アブビルのソンム川高位段丘にある遺跡を標準遺跡とする前期旧石器時代文化。もとはシェル文化とよばれたもので、ヨーロッパのハンド・アックスを伴う石器文化の最古に位置づけられる。大形絶滅哺乳(ほにゅう)動物を伴う文化で、第四紀の古い部分に年代づけられるが、その年代はおそらくミンデル氷期と考えられる。ただ確実にこの文化にあてられる遺跡はきわめて少なく、文化的特色はよくわかっていない。指標となる石器はハンドアックスである。両面を大きな剥離(はくり)で調整され、その刃部(稜部(りょうぶ))はジグザグ状を呈し、石でたたかれたことを示している。

[山中一郎]

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