改訂新版 世界大百科事典 「アマーティ」の意味・わかりやすい解説
アマーティ
Amati
イタリアのクレモナで活躍したバイオリン製作者の一族。始祖アンドレアAndrea(1505か10-77か80)は富裕な貴族出身で,ブレシア派の技術に形状やワニスの改良を加え,ほぼ現在のバイオリン,ビオラ,チェロの形を確立。クレモナ派の創始者とされる。彼の楽器のうち数点は今日でも残存している。2人の息子アントニオAntonio(1540ころ-1600ころ)とジロラモGirolamo(ヒエロニムス,1561ころ-1630)も父の後を継いだ。ジロラモの息子ニコラNicola(もしくはニコロ,1596ころ-1684)はアマーティ一族中最も卓越した製作者であったばかりでなく,グアルネリ,F.ルジェーリ,ストラディバリ(推定)らの優れた弟子を数多く生み出した。彼の少し大ぶりの楽器は〈大アマーティ〉と呼ばれ珍重されている。この〈大アマーティ〉を別にすると,アマーティ一族の楽器は大ホールでのオーケストラとの共演に十分な音量はもっていない。しかし音色は美しく表情に富むため,室内楽にはその本領を最高度に発揮する。ニコラの息子のジロラモGirolamo(1649-1740)は一族最後の製作者である。
執筆者:片山 千佳子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報