アミガサタケ(その他表記)morel
Morchella esculenta Fr.

改訂新版 世界大百科事典 「アミガサタケ」の意味・わかりやすい解説

アミガサタケ
morel
Morchella esculenta Fr.

子囊菌類盤菌目チャワンタケ科のキノコ。高さ8~20cmで広卵形頭部と柄の部分に分かれ,頭部には網目状に粗くくぎられたくぼみがあり,くぼみの内側はしわが多く,淡黄色~灰色~汚黄色で,子実層が発達している。柄の部分は白く,下ぶくれで,頭部と同様に内部は空洞である。子実層には楕円形の8個の胞子をもった棍棒状の子囊がならんでいる。全体は淡黄褐色で,質はもろい。学名esculenta食用の意味で,ヨーロッパでは食用キノコとして珍重されている。日本全土に分布し,世界的には北半球の温帯以北に多い。日本ではこのほか,トガリアミガサタケM.conica Pers.,オオトガリアミガサタケM.elata Fr.がある。おもに春に林内,庭先植込みに発生する。美味を呈する成分は日本で研究され,子実体ならびに培養菌糸から検出される非タンパク性のアミノ酸モルケリンmorchellinであることが判明した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アミガサタケ」の意味・わかりやすい解説

アミガサタケ
あみがさたけ
[学] Morchella esculenta Fr.

子嚢(しのう)菌類、チャワンタケ目アミガサタケ科の食用キノコ。頭部と茎の2部からなり、高さ5~8センチメートル。頭部は淡い汚土色で、不規則な形の籠目(かごめ)状のくぼみがあり、もろい肉質で、内部は空洞。茎はやや下膨れの円柱状をなす。子嚢は円筒形で、頭部のくぼみの内面に形成され、その中に8個の無色で楕円(だえん)形の胞子を1列に収める。春のキノコで、4月ごろ雑木林の地上や、庭の木の下などの草に混じって生える。分布は世界的。日本では食用にする習慣はないが、欧米とくにフランスではモリーユmorilleの名で親しまれ、第一級の食用キノコとしてフランス料理で珍重される。英語ではモレルmorel。アミガサタケ属には種類が多く、頭部のくぼみがやや縦長で、くぼみを仕切る稜線(りょうせん)がほぼ縦に走るものがトガリアミガサタケM. conica Fr.で、高さ10センチメートル以上になる。茎が太くて長いものがアシブトアミガサタケM. crassipes Pers.である。ともに食用で、普通にみられる。類似の毒キノコはない。

[今関六也]


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百科事典マイペディア 「アミガサタケ」の意味・わかりやすい解説

アミガサタケ

子嚢菌類チャワンタケ科のキノコ。北半球の温帯以北に多く,おもに春,林内や庭に発生する。高さ8〜20cm。頭部は卵形で綱目状のくぼみがあり,灰褐色。柄は下部がふくらみ,頭部とともに中空。特にヨーロッパでは食用として重用される。近縁にトガリアミガサタケ,オオトガリアミガサタケなどがあり,いずれも生食不可

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