翻訳|Arizona
アメリカ合衆国、南西部の州。面積29万5023平方キロメートル、人口513万0632(2000)。北はユタ州と、東はニュー・メキシコ州と、南はメキシコと、西はコロラド川を境界としてネバダ州およびカリフォルニア州と、それぞれ接する。州都はフェニックス。州の北部はコロラド高原で、標高1200メートル以上に達する。コロラド川とその支流がこの高原を開析して、グランド・キャニオンのような深い峡谷を形成している。州の中央部には北西から南東に連なる山地があり、南東部には北から南に延びる山脈があって、この二つの山地の間をヒラ川が西に向かって流れ、コロラド川に合流する。山地では年降水量が760ミリメートルに達する所もあるが、州の大部分は降水量が少なく、南半部には砂漠が多い。州の名称は、先住民パパゴの人々がアリゾナ州南部のノガレス南部と西部地域をアリゾナクArizonac(小さな泉)とよんだことにちなむ。コロラド川とその支流には多数のダムが建設され、灌漑(かんがい)と水力発電に利用されている。
農業は、フェニックス、トゥーソン、ユマなどの地域を中心に行われ、綿花、レタス、トウモロコシ、牧草、畜産物が主要生産物である。鉱業も重要な産業で、銅の生産は合衆国全体の半分以上を占め、モリブデン、砂利、セメントの生産も多い。工業生産物としては機械、食品、金属がある。州の北部にはグランド・キャニオン、ペインテッド・デザート、ペトリファイド・フォレスト国立公園などがあり、観光客が多い。
アリゾナ州の先住民人口は約25万6000で、ナバホ、モハーベ、アパッチ、ホピなどのグループが住む。1536年、白人による最初の探検がスペイン人によって行われたが、スペイン人の最初の定住地が建設されたのは1776年であった。1821年、メキシコの独立によってメキシコ領土となったが、1848年のアメリカ・メキシコ戦争の結果、ヒラ川以北の地がメキシコから割譲されて合衆国領土となった。1853年のガズデンの買収によってヒラ川以南も合衆国領となり、1912年に合衆国48番目の州となった。
[菅野峰明]
アメリカ合衆国南西部の州。略称Ariz.。連邦加入1912年,48番目で本土ではもっとも遅い。面積29万4312km2。人口639万2017(2010)。州都および最大都市はフェニックス。州名はパパゴ・インディアンの言葉arizonac(小さな泉)に由来する。州の大半は米墨(アメリカ・メキシコ)戦争の結果1848年に,ヒラ川以南のメキシコに接する南部は53年のガズデン購入によって合衆国領となった。州の北半を占めるコロラド高原のほか,高原・台地が多く,メーサもみられる。乾燥気候が卓越し,サボテンなどの乾燥性植物が多く,州南西部にはヒラ砂漠がひろがる。北部から西部にかけてコロラド川が流れ,グランド・キャニオンを形成する。アリゾナの発展は19世紀後半の金・銀鉱山の発見とともに始まり,鉱業は現在も主要産業で,南部には銅(全米1位,1980)の鉱山が多い。灌漑農業の普及は20世紀前半のセオドア・ローズベルト・ダム(1911)やフーバー・ダム(1936)などの完成を待たねばならなかったが,綿花(全米3位)をはじめモロコシ,かんきつ類などが栽培される。また肉牛の飼育も盛ん。一年を通じて晴天日が多いため,第2次大戦中各地に空軍基地が建設された。戦後のエアコン,冷蔵庫などの普及は,住環境,企業立地条件を大幅に改善し,いわゆるサン・ベルトの一州として発展,1950-70年の間に人口は倍増した。フェニックス,トゥーソンを中心に電子機器,金属加工,航空機部品などの工業が発達している。アナサジ,ホホカムなどのインディアン先史文化が栄えたところで,現在もナバホ,フォート・アパッチなどの保留地が多く,インディアン人口は約15万(全米3位)。メキシコに接するため,メキシコ系も約44万人いる。
執筆者:正井 泰夫
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