デジタル大辞泉 「アルコールハラスメント」の意味・読み・例文・類語
アルコール‐ハラスメント
[類語]アカデミックハラスメント・エージングハラスメント・カスタマーハラスメント・ジェンダーハラスメント・スメルハラスメント・セクシュアルハラスメント・ソーシャルメディアハラスメント・ドクターハラスメント・パタニティーハラスメント・パワーハラスメント・マタニティーハラスメント・モラルハラスメント・レイシャルハラスメント・ロケーションハラスメント・時短ハラスメント
飲酒に関連した嫌がらせ、迷惑行為、暴力・暴言、人権侵害などの総称。アルコールalcoholと、嫌がらせを意味するハラスメントharassmentを組み合わせた造語で、アルハラと略される。1980年代なかばから、大学の新入生歓迎会などで急性アルコール中毒による死者が相次ぎ、1990年代初頭にセクシュアル・ハラスメントと並んで、一般に使われるようになった。学校や職場などで、上下関係を背景として、またその場の雰囲気に影響されるなどして、体質や健康状態を考慮せず、一気飲みさせたり、酔いつぶれるまで飲酒を勧める行為をさす。NPO法人のアルコール薬物問題全国市民協会(ASK)はアルコール・ハラスメントに該当する行為として、(1)飲酒の強要、(2)一気飲ませ、(3)意図的な酔いつぶし、(4)飲めない人への配慮を欠くこと、(5)酔ったうえでの迷惑行為、の5項目をあげている。
日本の法律では、飲酒の強要は強要罪、酔いつぶす行為は傷害罪、周囲ではやし立てる行為は傷害現場助勢罪、死亡させた場合は傷害致死罪、酔いつぶれた者に必要な保護を怠り死亡させた場合は保護責任者遺棄致死罪などに該当する。酩酊(めいてい)防止法(正称「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」昭和36年法律第103号)第2条はアルコール・ハラスメント(飲酒の強要)の防止をうたっており、アルコール健康障害対策基本法(平成25年法律第109号)第15条は、国と地方公共団体が学校や職場でのアルコール関連教育のための施策を講ずる、と明記している。それにもかかわらずアルコール・ハラスメントによる死者がほぼ毎年発生している。東京消防庁が2019年(令和1)に搬送した急性アルコール中毒者(約1万8000人)のうち半数近くは20歳代であり、厚生労働省は「20歳代が自発的に大量飲酒する傾向があるとは考えにくく、非自発的に先輩・同僚に飲酒させられている」として、アルコール・ハラスメントの悪習が依然、続いていると分析している。
[編集部 2023年10月18日]
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