意思決定の自由を脅かし身体活動の自由を侵害する罪。本罪が成立するためには、相手方またはその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知して脅迫し、または暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害することが必要である(刑法223条)。本罪が暴行罪(同法208条)や脅迫罪(同法222条)と異なるのは、暴行・脅迫によって相手方になんらかの作為または不作為を余儀なくさせる点にある。判例によれば、「義務のないことを行わせる」とは、たとえば、水入りバケツなどを長時間持たせたり、謝罪文を書かせる場合がこれにあたり、また「権利の行使を妨害する」とは、告訴権の行使を思いとどまらせる場合などである。この暴行または脅迫が、財物奪取や性交などの目的でなされる場合には、恐喝罪、強盗罪、強制性交等罪などにあたり、本罪の適用はない。法人に対する本罪については判例はなく、学説も分かれる。
[名和鐵郎 2018年1月19日]
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…人を脅迫する行為は,なんらかの行為を強要するために行われることが多いが,脅迫罪は,その目的を問題としていない。これに対し,脅迫罪と同様の行為または暴行を用いて,人に義務のない事を行わせ,または行うべき権利を妨害した場合には,強要罪(強制罪)として,3年以下の懲役に処せられる(223条)。また,同様の行為によって人に財物を交付させたり,人から財産上の利益を得た場合は,恐喝罪の問題となる。…
※「強要罪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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