翻訳|alfalfa
マメ科(APG分類:マメ科)の多年草で、栽培された最古の飼料作物といわれる。アルファルファの名はペルシア語の「最良の草」を意味することばからきており、アメリカや日本ではこの名を使うが、ヨーロッパではルサーン(lucerne)とよぶ。原産地は中央アジアで、古くから栽培されていたペルシアから紀元前5世紀にギリシアに伝わり、地中海沿岸に広まった。日本には江戸時代末期に渡来したがほとんど広まらず、明治時代初期に牧草として、アメリカから導入した品種が北海道を中心に定着した。茎は直立し、高さ0.5~1メートルに達し、多くの分枝がある。葉は3枚の小葉からなる複葉で、葉柄の基部に細い披針(ひしん)形の托葉(たくよう)がある。夏に、上部の葉腋(ようえき)から花柄が伸び、数個から20個ほどの蝶形花(ちょうけいか)をつける。
アルファルファは大きく3種に大別されるが、種により花色も異なる。暖かい地方に多いムラサキウマゴヤシMedicago sativa L.は紫色の花をつける。コガネウマゴヤシM. sativa L. subsp. falcata (L.) Arcang.(M. falcata L.)は黄色の花をつけ、黄花種アルファルファともよばれ、寒さに強く北海道に適している。日本には、この他、ウマゴヤシM. polymorpha L.やコメツブウマゴヤシM. lupulina L.など全16種ほどが帰化し、定着している。いずれも根は数メートルの深さにまで伸び、乾燥に強く、日当りと水はけのよい土地を好む。
おもに乾草として、また放牧草、サイレージとして利用されるが、タンパク質やミネラル、ビタミン類が豊富で飼料価値が高い。芽生えたばかりのものをアルファルファもやしとよび、生鮮野菜として食用にされる。
[星川清親 2019年10月18日]
アメリカではアルファルファと呼ばれるが,ヨーロッパではルーサンlucerneと呼ぶ。植物分類上はMedicago sativa L.,M.media Pers.,M.falcata L.などである。古くからペルシア地方で飼料とされた。日本には江戸時代末期に伝来したが,牧草としての栽培は明治以降で,おもに北海道で定着した。マメ科の多年草で,葉は3枚の小葉からなり,草丈は1mほどになる。M.sativaは和名をムラサキウマゴヤシと呼び,紫色の花をつけ紫花種ともいい,暖かい地方に多い。M.falcataは黄色の花をつけ,黄花種とも呼び,寒さに強く北海道に適す。M.mediaは紫花種と黄花種の雑種であり,東北地方に多い。いずれも直根が数mの深さにまで伸び,乾燥に強い。日当りと水はけの良い土地を好む。秋または春に播種(はしゆ)。茎葉部を牧草として使う。芽生えたばかりのものをアルファルファもやしと呼び食用とする。
執筆者:星川 清親
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…若葉は食用とし,飼料としては,青刈りして家畜に与えるほか,乾草やサイレージにもする。近縁種のムラサキウマゴヤシM.sativa L.やM.falcataはアルファルファまたはルーサンと呼ばれ,古来世界各地で飼料として栽培されている。 また,コメツブウマゴヤシM.lupulina L.はウマゴヤシに似たヨーロッパ原産の帰化植物で,同じく牧草や緑肥として広く利用されている。…
…例えば東北地方や長野県などではリンゴやオウトウの結実のためにマメコバチを飼育し成果をあげつつある。こうした例はアメリカでも牧草のアルファルファの採種のためにアルカリヒメハナバチやアルファルファハキリバチを大量に飼育管理し,そのたかい受粉能力によって大規模な生産を維持しつつある。 つまり繁殖力が旺盛で巣づくりもうまく,天敵である昆虫が少ない種類で,ある植物の開花時期に活動し受粉能力がたかい種類を選び出し,これを大量に飼育して利用するわけで,まさに益虫養殖時代というべきである。…
…もちろん,人間の食糧としては米や麦に比べて,つねに副次的な地位にとどまったが,家畜の飼料としてはきわめて重要な地位を占めている。 豆類の牧草にはクローバー類とアルファルファ(ルーサン)類とがあり,前者は中性あるいは微酸性,後者はアルカリ性の土壌に適している。したがって,後者は西南アジアや地中海地方のような乾燥地帯に,前者は北ヨーロッパや東アジアのような湿潤地帯に広く分布している。…
※「アルファルファ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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