改訂新版 世界大百科事典 「アルフォンソ5世」の意味・わかりやすい解説
アルフォンソ[5世]
Alfonso Ⅴ
生没年:1394-1458
アラゴンのトラスタマラ朝第2代の王。在位1416-58年。文武両面に優れ,ナポリ王国の征服とここに構えた宮廷で多くの人文学者や芸術家を厚く遇したことから〈寛大王el Magnánimo〉の異名を持つ。強力な王権の行使を志向するアルフォンソは,それぞれの法や政治伝統の維持に細心なアラゴン諸国の議会とは即位時点から対立,そのためにもっぱら地中海での覇権拡大と自国権益の防衛に政策の主眼を置いた。すでにアラゴン王家の統治下にあったシチリアとサルデーニャ両島の支配を固め,コルシカをめぐってジェノバと戦い,1421年には後継者のいないナポリ女王の要請を受けてその養子となった。教皇庁,ベネチア,ジェノバ,アンジュー家等はこの新事態に反対したが,アルフォンソは42年にナポリ入城を果たした。この後さらに東部地中海進出を試みたが,ここでは満足な成果は挙げ得なかった。この間,バルセロナ市およびカタルニャとマリョルカ島の農村部では支配者層と被支配者層の対立が深まりつつあったが,アルフォンソ王はいっさいこれを顧みず,次代に禍根を残した。
執筆者:小林 一宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報