アロン(Raymond (Claude Ferdinand) Aron)(読み)あろん(英語表記)Raymond (Claude Ferdinand) Aron

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

アロン(Raymond (Claude Ferdinand) Aron)
あろん
Raymond (Claude Ferdinand) Aron
(1905―1983)

フランスの社会学者、ジャーナリスト。パリ生まれ。エコール・ノルマル・シュペリュール(高等師範学校)で哲学を修め、卒業後コローニュ(ケルン)大学、トゥールーズ大学などで教鞭(きょうべん)をとったが、その間1931~1933年ドイツに留学。第二次世界大戦中は対独レジスタンスに投じ、以後反共的自由主義の立場から『自由フランス』『コンバ』『フィガロ』などでジャーナリストとしても活躍。一時はサルトルカミュなどとも交際し影響を与えた。1956年から1968年までパリ大学、1970年以降はコレージュ・ド・フランスの社会学教授。社会学者としては、『現代ドイツ社会学』(1935)から『社会学思想の諸段階』(1967)にかけて、ドイツ社会学の伝統にも理解を示した独特の社会学観を展開し、マルクスウェーバーを評価するとともに、モンテスキュートックビルの再評価も試みた。また『知識人阿片』(1955)でスターリン主義的マルクス主義を批判し「イデオロギー終焉(しゅうえん)」思想の先駆者一人となり、以後『産業社会十八講』(1962)、『産業時代三論』(1966)などで、アメリカのそれと違い、より現実主義的な産業社会論を展開した。『回想録―政治考察の五十年』(1983)も話題を集めた。1983年10月17日死去。

[庄司興吉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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