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脱工業化社会 ダツコウギョウカシャカイ

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デジタル大辞泉の解説

だつこうぎょうか‐しゃかい〔ダツコウゲフクワシヤクワイ〕【脱工業化社会】

工業中心の社会がさらに発展して、知識・情報・サービスが重要な役割を果たす社会。

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大辞林 第三版の解説

だつこうぎょうかしゃかい【脱工業化社会】

エネルギーを基礎とする工業に代わって、知識・情報・サービスなどにかかわる産業が重要な役割を果たす社会。 D =ベルらによって提唱された語。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

脱工業化社会
だつこうぎょうかしゃかい

情報社会」のページをご覧ください。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

脱工業化社会
だつこうぎょうかしゃかい
post-industrial society

現代の先進産業社会にみられるような、科学・技術の飛躍的な発展の結果生じた高度の社会形態をいう。工業化の次にくる社会、つまり第二次産業(工業)中心から第三次産業サービス産業)中心に移行した段階の社会に関するマクロ・モデルであって、1960年代なかばごろからアメリカのD・ベルその他の現代社会論者や未来学者が提唱したもの。脱産業化社会と訳す場合もあるが、脱工業化と脱産業化とでは若干意味を異にする。というのは、脱工業化社会工業社会の延長線上にあり、工業社会を特徴づけるものがエネルギーであったのに対し、脱工業化社会は情報(とくに理論的知識)によって特徴づけられる点で区別されるにすぎないが、脱産業化社会という場合には工業社会や脱工業化社会を基礎づける機能的合理性・産業本位主義・手段的価値の強調に対するアンチテーゼとして人間本位主義・表出的価値を強調しており、工業社会との連続性は断ち切られているからである。[濱嶋 朗]

五つの特徴

ベルによると、脱工業化社会は次の諸点によって特徴づけられる。
(1)経済部門に関しては、財貨生産経済からサービス経済へ重点が移行していること
(2)職業分布に関しては、専門的・技術的職業階層が他の階層に対して優位にたっていること
(3)中軸原理に関しては、技術革新と政策決定の根幹をなす理論的知識が社会にとって中心的な意義をもっていること
(4)将来の方向づけに関しては、技術管理と技術評価という新しい予測技術の開発による技術変化・経済成長の意識的・計画的前進が図られていること
(5)意思決定に関しては、新しい知的技術の開発・創造によって、合理的な目標を達成するのにもっとも適合した手段を確定して最適解を得ようとしていること[濱嶋 朗]

資本主義の文化的矛盾

ベルが規定した脱工業化社会は優れて科学・技術中心の社会把握であるが、それは、彼が、全体としての社会を構成する社会構造(経済・技術・職業構造)、政治形態(権力の配分や諸要求の葛藤(かっとう)の調整領域)、文化(表出的シンボルと意味の領域)という三つの次元のうち、社会構造の変動を重視したためである。この三つの次元は、かつては共通の価値体系で連結・接合されていたが、今日ではますます乖離(かいり)し拮抗(きっこう)するようになっている。すなわち、社会構造の中軸原理(経済化原則のもとでの資源配分)と政治形態の中軸原理(上からの動員・管理による、または下からの要求による参加)および文化の中軸原理(自我の達成と高揚の欲求)とは、互いに矛盾し葛藤を演じているような始末であって、ベルの関心もその将来の動向の展望にあった。手段的価値と表出的価値、現実原理と快楽原理、仕事と余暇、生産倫理と消費倫理、抑圧・疎外と自己実現との葛藤から何が生まれ、将来の人間と社会はどうなっていくのか、という問題意識である。[濱嶋 朗]

イデオロギーの終焉

このような問題意識は、大衆社会論からアロンやダーレンドルフらの産業社会論またはロストウの経済成長論(高度大衆消費時代論)を経て、ブレジンスキーのテクネトロニック社会論(コンピュータや電子工学が社会変化の決定要因となるとする説)、ドラッカーの知識社会論(知識が社会のあらゆる領域の共通項になるとする説)の延長線上にあることはいうまでもない。この種の現代社会論ないしは未来予測は、産業社会論と同様に、次の諸点で現段階における社会と歴史の認識に大きな波紋を投げかけている。(1)理論的知識や科学的技術を軸として社会変動を把握しようとする点で技術史観にたち、(2)超体制的・価値中立的な科学・技術の普遍的支配を強調し、専門・技術的職業階層(テクノクラート)の支配を展望する点で、イデオロギーの終焉(しゅうえん)と階級闘争の終焉を主張する反マルクス主義の立場にたつとともに、(3)所有という生産関係面よりも技術ないしは知識という生産力面から社会の構造と変動をとらえることによって、資本主義・社会主義両体制の接近または収斂(しゅうれん)を展望する点である。
 なお、情報化と関連して、20世紀末における科学・技術の飛躍的発展、とりわけ情報通信技術の目覚ましい進歩(いわゆるIT革命)によるインターネット、マルチメディアといった情報系ネットワークの整備は、人々の消費生活や労働生活、教育・研究、医療、娯楽など、生活の全面にわたる効率化を実現しつつあり、われわれの欲望や必要を瞬時に、しかも容易に満たすようになった。そこで展開されるのは、具体的現実の極小化と仮想現実の極大化であり、情報や記号の世界への人間の編入である。ボードリヤールが現代の消費社会を分析して、欲求に基づく物本来の機能の経済的消費から、欲望に基づく物の記号的意味の心理・社会的消費への移行を鋭く批判したのも、これと密接に関連している。[濱嶋 朗]
『D・ベル著、内田忠夫他訳『脱工業社会の到来』上下(1975・ダイヤモンド社) ▽D・ベル著、林雄二郎訳『資本主義の文化的矛盾』上中下(講談社学術文庫) ▽A・トゥレーヌ著、寿里茂・西川潤訳『脱工業化の社会』(1970・河出書房新社) ▽庄司興吉著『現代化と現代社会の理論』(1977・東京大学出版会) ▽J・ボードリヤール著、宇波彰訳『物の体系』(1980・法政大学出版局) ▽J・ボードリヤール著、今村仁司・塚原史訳『消費社会の神話と構造』普及版(1995・紀伊國屋書店)』

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