アーバーズ
āvāz[ペルシア]
イランの音楽用語。アーバーズはペルシア語で〈声〉〈叫び〉という意味を持つが,音楽用語としてはさらに二つの異なった用法がある。(1)イランの伝統的な声楽を一般に意味し,とりわけ,拍節のない独特なリズム様式によるものを指す。古典的なペルシア語の詩は朗唱されることが多いが,美声の歌手が声を張り上げて歌う場合にはこのアーバーズのスタイルをとり,これがまた伝統的なペルシア音楽の真髄である。(2)イランの古典音楽の旋法ないし旋律型がアーバーズと呼ばれる。これは中世の音楽理論の用語を踏まえており,サフィー・アッディーンはその《キターブ・アルアドワール(旋法の書)》の中で六つのアーバーザート(アーバーズの複数形,〈旋法〉)に言及している。
執筆者:柘植 元一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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アーバーズ
イランの音楽理論用語。語源としては声という意から,(1)声楽,(2)歌(自由なリズムで歌う歌曲),(3)拍子が明確でない部分の様式のこと,(4)自由なリズムの楽曲,(5)旋律法,旋律型(アラブのマカームに相当するもの)など,さまざまな意味をもつ。特に声楽では,詩の朗唱を中心とするアーバーズの部分が主体となり,声をふるわせながら装飾的に歌う技法を用いて,歌い手の技量を聴かせる。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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世界大百科事典(旧版)内のアーバーズの言及
【イラン音楽】より
…その特徴は,半音より狭い微小音程を含む7音音階に基づく旋法の体系(ダストガー)と,アラブ・ペルシアの韻律法にのっとり作られたペルシア詩の古典詩の朗誦の結合である。[アーバーズ]と呼ばれる歌唱様式によって,このダストガー音楽は体現されるが,アーバーズの主要部分は,むしろ拍節のない,伸縮自在のリズムにより,半ば即興的に演奏される。拍節の明確な歌はタスニーフとかザルビーと呼ばれ,あらかじめ作曲された軽い付随的な部分を成す。…
※「アーバーズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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