イエロー・ブック(読み)いえろーぶっく(英語表記)The Yellow Book

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イエロー・ブック」の意味・わかりやすい解説

イエロー・ブック
いえろーぶっく
The Yellow Book

イギリスの季刊文芸・絵画雑誌。1894年4月に、病的な感受性をもった小説家ハーランドHenry Harland(1861―1905)を文芸部主任、怪異構図で怪奇な幻想を描く挿絵画家ビアズリーを絵画部主任として創刊され、1897年4月まで13号にわたって刊行された、いわゆる世紀末の唯美主義芸術一派の代表的機関誌。黄色の厚紙に黒一色で描いたビアズリーの奇抜かつ斬新な表紙は、創刊当時大いに反響をよんだ。寄稿者には上記2人のほか、M・ビアボーム、H・ジェームズ、批評家E・ゴスEdmund Gosse(1849―1928)、詩人G・ムーアGeorge Moore(1852―1930)、W・B・イェーツなどがいる。

玉泉八州男

『河村錠一郎著『ビアズリーと世紀末』(1980・青土社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「イエロー・ブック」の意味・わかりやすい解説

イェロー・ブック
The Yellow Book

イギリスの,文学・絵画のための季刊雑誌。1894年4月創刊。大衆に背を向け少数読者を目標とする〈リトルマガジン〉の典型である。黄色の表紙に黒一色で描くビアズリーの絵が話題を呼んだ。寄稿者にはM.ビアボーム,W.B.イェーツなど,いわゆる世紀末の文学者が多い。文学者も画家もともに世紀末の芸術至上主義をはっきり打ち出し,激しい賛否の論議を呼んだ。97年4月,13号で終刊となった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イエロー・ブック」の意味・わかりやすい解説

イエロー・ブック
The Yellow Book

1894年4月ロンドンで発刊された挿絵入り文芸季刊誌。世紀末的,耽美的傾向の内容が,黄色地に黒一色で描かれたビアズリーの表紙絵の退廃味と相まって,この時期の最も代表的な文芸雑誌と認められた。寄稿者には,ワイルド,ビアボーム,A.シモンズ,E.ダウソン,L.ジョンソンらがあり,ほかにイェーツ,H.ジェームズらも加わった。きわだった特徴をもつ雑誌であるだけに風当りも強く,これを緩和するためにさらにセインツベリー,ゴスらの学者文人をも加えたが,このような妥協的態度が逆に発刊当初の気力をそぎ,97年4月,13号をもって廃刊となった。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「イエロー・ブック」の解説

イエローブック

CDメディアの規格のひとつ。1985年に定められた。規格をまとめた冊子の表紙が黄色なのでこう呼ばれる。

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世界大百科事典(旧版)内のイエロー・ブックの言及

【ビアボーム】より

…イギリスの随筆家,小説家,風刺画家。オックスフォード大学在学中から《イェロー・ブック》誌上に軽妙痛烈な戯文,風刺画を発表,早熟な才人としてジャーナリズムに迎えられた。1898年にはG.B.ショーのあとをうけて《サタデー・レビュー》紙の劇評を担当した。…

※「イエロー・ブック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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