イコノロジー(英語表記)iconology

  • 〈フランス〉iconologie

翻訳|iconology

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

図像解釈学と訳される。イコノグラフィーと同じくエイコン (像) とロゴス (言葉) の合成語 (プラトンの『パイドロス』) に発し,ルネサンスには古代以来の神像や寓意像などの象徴的意味を解釈,体系化する試みに進んだ (C.リパの『イコノロギア』,1593) 。この語は E.パノフスキーにより復活させられた。イコノグラフィーの内容が作品の形式と対立するのに対し,より本質的了解は,形式に対する直観的認識と相まって,作品の根底をなす世界観の把握,解釈に進むとされる。そこには E.カッシーラーの唱えた「象徴形式の哲学」が大きく影響し,今日の美術史学の重要な一側面をなすとともに,さらに現在では形象一般の意味論 (セミオロジー) にと発展させられつつある。図像のみならず,建築の形態と機能からその意味を問う建築図像学 (R.クラウトハイマー) も行われている。日本,東洋についても図像学 (→仏教図像学 ) のような伝統が古来からある。

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百科事典マイペディアの解説

図像解釈学。英語アイコノロジーiconology,ドイツ語イコノロギーIkonologie。日本ではフランス語形が慣用される。A.ワールブルクが創唱し,E.パノフスキーをはじめとするワールブルク学派によって展開された。一般に,純粋に視覚的・造形的研究を旨とする様式論に対立し,かつ図像の意味内容の確定とその継承の記述をもっぱらとする図像学を前提としながら,さらに当の図像の生成や社会的・文化的背景にも及んで解釈する立場。ただし,美術史の一方法ではなく,造形芸術を出発点とする広大な文化史(文化科学)の基礎として構想されたことに留意する必要がある。ワールブルク学派の徹底した学際志向が生じるゆえんであり,その〈文化的徴候〉へのまなざしがC.ギンズブルグらの歴史家に注目されるゆえんである。→図像学
→関連項目象徴

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

美術史の一研究方法であるイコノグラフィーから発展したもので、図像解釈学ともいう。イコノグラフィーとこのイコノロジーに対して、ともに図像学という用語が用いられる。

[編集部]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (iconologie) イコノグラフィーの成果に基づき、美術作品のもつ象徴的価値を解明する学問。図像解釈学。

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世界大百科事典内のイコノロジーの言及

【図像学】より

…ハンブルクに起こり,後にロンドンに移った彼の学派(ワールブルク研究所)から,優れた研究者が多数出たが(ゴンブリッチ,ザクスルF.Saxlなど),第2次大戦後の学界に決定的影響を与えたのはパノフスキーである。彼はカッシーラーの象徴形式の哲学に多大の影響を受け,普遍的な図像解釈の方法を提案,実践した(《イコノロジー研究》1939)。パノフスキーによれば図像の解釈は,(1)日常的レベルにおける対象の認識,記述(preiconographical description。…

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