イランド(英語表記)eland
Taurotragus oryx

精選版 日本国語大辞典 「イランド」の意味・読み・例文・類語

イランド

〘名〙 (eland)⸨エランドウシ科の哺乳類アフリカサバンナに群れをなしてすむ。肩高約一・七メートル、角長六〇~一〇〇センチメートルの大形のアンテロープ。角は雌雄ともにあり、上外方にまっすぐに伸びる。のどには牛に見られる肉垂れがある。体毛はなめらかで短く、黄褐色ないし赤褐色で、胴に白色横縞がある。性質は温和でなれやすい。おおかもしか。

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デジタル大辞泉 「イランド」の意味・読み・例文・類語

イランド(eland)

エランド

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改訂新版 世界大百科事典 「イランド」の意味・わかりやすい解説

イランド
eland
Taurotragus oryx

体の大きさ,姿とも,ウシに似る大型のアンテロープ。エランドともいう。偶蹄目ウシ科の哺乳類。アフリカ中部と南部のステップや灌木地帯に生息する。角は雌雄共にあり,長大で,根もとから半ばまでらせん状にねじれる。体長1.8~3.4m,尾長30~60cm,肩高1.0~1.8m,体色は灰色で,背側に白色の縦縞が走る。数頭から200頭余りからなる群れで生活する。日中は日陰で休息し,朝と夕刻に開けた場所で葉,漿果などを食べる。移動の際にはおもにトロットで進むが,走るのはあまり速くない。跳躍が巧みで,逃げる際などに他個体を跳び越えることもある。憶病で警戒心が強く,敵の存在を遠くから察知して逃げる。天敵はライオン,ヒョウなど。繁殖は年間を通じて行われ,雌は250~270日の妊娠期間の後,1子を生む。良質な皮と美味な肉を求めて捕殺され,数が減少した。ウシに似るためにしばしば家畜化が試みられ,馴化(じゆんか)に成功した例もある。近縁種クロクビイランドジャイアントイランドT.derbianusがいる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イランド」の意味・わかりやすい解説

イランド
いらんど
eland
[学] Taurotragus oryx

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の動物。エランド、オオカモシカともいわれる。アフリカの東部から南部に分布し、開けた平原やまばらな低木林にすむ。肩高1.7~1.78メートル、体重590~680キログラム。角(つの)は2回ほどねじれるがまっすぐで、雌雄にあり、雄の角は長さ74センチメートル、ときに110.5センチメートルに達するが、雌のは小さい。体は黄褐色ないし赤褐色で、胴に白色の横縞(よこじま)がある。普通25~70頭、まれに200頭に達する群れで生活し、なかに1、2頭の成熟した雄がいる。木の葉が主食で、角を使って低木の枝をかき分け、好みの葉などをとる。ほかに野生メロンなどの果実、地下茎なども食べる。水への依存度が高く、夜または早朝に水場を訪れ、乾期には移動がみられる。体重のわりに身軽で、高さ2.4メートルを跳ぶことが知られている。妊娠期間255~270日で、8月ごろ1産1子を産む。性質が温和でよくなれ、家畜化が試みられている。近似種にアンテロープ類のなかで最大のジャイアントイランドT. derbianus(肩高1.75メートル、体重450~900キログラム)があり、アフリカの西部と中部にかけて分布する。普通15~25頭の群れで水場付近で生活するなど、習性はイランドに似る。

[今泉忠明]


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百科事典マイペディア 「イランド」の意味・わかりやすい解説

イランド

エランド,オオカモシカ,ウシカモシカとも。偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の哺乳(ほにゅう)類。肩高雄1.35〜1.8m,雌1.25〜1.5m,角長雄60〜102cm,雌60〜140cm。レイヨウ中最大。体毛は淡黄褐色。東〜南アフリカの疎林,草原に群生。樹葉や草を食べる。1産1子。性質は温和で,飼育下でもよく繁殖し,肉,乳は食用に適する。

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世界大百科事典(旧版)内のイランドの言及

【レイヨウ(羚羊)】より

…【今泉 忠明】。。…

【レイヨウ(羚羊)】より

…ウシ科の動物のうちスイギュウ,ヤギュウ,カモシカ,ヤギ,ヒツジの各類を除いたものの総称といえる。 体の大きさは変化に富み,最大はクロクビイランド(ジャイアントイランド)Tragelaphus (Taurotragus) derbianus(イラスト)で,体長3.45m,尾長90cm,肩高1.8m,体重1000kg,角長1.2mに達するが,最小のローヤルアンテロープ(イラスト)では体長40~50cm,尾長5~8cm,体重3~4kg,角長2.5cmにすぎない。多くのものは草原,砂漠,ときに森林にすみ,体つきは走行に適して胴と四肢が細く,あごが長く,頭を高く保っている。…

※「イランド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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