インターセックスと性分化

六訂版 家庭医学大全科 の解説

インターセックスと性分化
(男性生殖器の病気)

 インターセックスという言葉を目にするようになりました。日本語では半陰陽(はんいんよう)という用語に当たり、男性と女性のどちらとも判別できないことを指します。

 発生における性分化は、その謎深さゆえに古くから発生生物学者の興味の対象でした。近年になり、分子生物学の発展に伴って性分化に関わる重要な遺伝子やそのはたらきが明らかになってきましたが、性分化はその複雑さのため全貌を理解することはなかなか困難です。

 性分化の大筋は、①染色体(遺伝子)の性、②生殖腺の性、③内・外性器の性、という3つの段階に分けて考えることができます。

 まず、染色体の性ですが、男性の性染色体はXY、女性はXXです。そのため昔から、Y染色体上に男性になることを決める遺伝子があると考えられていました。実際にY染色体にはSRYという遺伝子があり、この遺伝子が精巣を作るはたらきをします。

 しかしSRYがY染色体以外の場所にある例もあり、その場合は性染色体がXXでも男性へと分化していきます。一方、SRYのない場合には生殖腺は卵巣になります。生殖腺が精巣もしくは卵巣に決まった後は、内・外性器が発達します。

 精巣からは男性ホルモンテストステロン)が産生され、その作用により男性としての外性器(陰茎・陰嚢(いんのう))が発達します。一方、テストステロンがない場合、外性器は女性型になります。テストステロンがあってもその作用が不十分であれば、女性型に近づきます。たとえば、テストステロンの受容体に異常がある場合は、テストステロンが作用せず、XY染色体をもち精巣があるにもかかわらず、外見は女性になります。

 広い意味で、性分化の過程は出生後の第二次性徴にまで及びます。このように、性分化には長い期間にわたって多様な因子が関与しており、男性と女性という2つの性だけではない結果もあるのです。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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