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ウェルフェル Werfel, Franz

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ウェルフェル
Werfel, Franz

[生]1890.9.10. プラハ
[没]1945.8.26. ハリウッド
オーストリアのユダヤ系詩人,劇作家,小説家。富裕な商家に生れ,プラハ,ライプチヒ,ハンブルクの各大学に学ぶ。同学の友人にカフカブロートがいる。出版社に勤め,第1次世界大戦に参加後,ウィーンに移り,1929年作曲家マーラーの未亡人アルマと結婚。人類愛をうたい上げた『世界の友』 Der Weltfreund (1911) により表現主義詩人として出発,エウリピデスの翻案『トロイアの女たち』 Die Troerinnen (15) ,ファウスト的な詩劇『鏡人』 Spiegelmensch (20) によって注目された。その後小説に筆を染め,『殺した者でなく殺された者に罪がある』 Nicht der Mörder,der Ermordete ist schuldig (20) ,『ベルディ』 Verdi (24) ,『バルバラ』 Barbara oder die Frömmigkeit (29) を発表。 38年フランスに亡命,40年アメリカに渡った。その途上訪れたルルドの奇跡を語る小説『ベルナデットの歌』 Das Lied von Bernadette (41) ,死後出版の未来小説『いまだ生れぬ者たちの星』 Stern der Ungeborenen (46) などがある。

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百科事典マイペディアの解説

ウェルフェル

オーストリアの作家。ユダヤ系でプラハ生れ。表現主義的抒情詩と戯曲で出発,のち小説にむかって《ベルディ》(1924年)などを書いたが,ナチスの出現とともにフランスを経て米国に亡命。
→関連項目マーラー

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世界大百科事典 第2版の解説

ウェルフェル【Franz Werfel】

1890‐1945
ドイツの詩人,小説家,劇作家。富裕なユダヤ人商人の子としてプラハに生まれ,カフカやブロートを友とした。ウォルフ社の叢書《最後の審判の日》の企画者となり,詩集《世界の友》(1911)などにおいて,音楽性豊かな言葉で新しい世界と人間とをたからかにうたい,表現主義抒情詩の旗手となった。第1次世界大戦に出征,以後はウィーンに定住し,作曲家マーラーの未亡人で10歳年長のアルマと結婚,当時しばしばとりあげられた〈父親殺し〉をテーマにした小説《殺した者にではなく殺された者に罪がある》(1920),実在の自我仮象の自我との相克を描いた幻想的詩劇《鏡人》(1920)で一躍文名をはせた。

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大辞林 第三版の解説

ウェルフェル【Franz Werfel】

1890~1945) オーストリアの詩人・劇作家・小説家。表現主義の詩人として出発、人類愛を熱烈に訴える。ナチスに追われ、アメリカで客死。詩集「哀しき日」、戯曲「鏡人」、小説「ベルディ、オペラの小説」「ベルナデットの歌」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ウェルフェル
うぇるふぇる
Franz Werfel
(1890―1945)

ユダヤ系オーストリア人の作家。チェコの首都プラハの富裕な家庭に生まれ、幸福な少年期を送る。ドイツ語教育を受け、学生時代からカフカ、マックス・ブロート、ウィリー・ハース(1891―1973)らと親しかった。ライプツィヒの書店に数年勤務。第一次世界大戦に参加、1917年以後ウィーンに居住。29年音楽家マーラーの未亡人アルマと結婚。作家としての名声が高まるなかでナチスのオーストリア併合に遭遇しフランスへ亡命、結び付くべき「国民もなく」根を生やすべき「国土も持たぬ」流浪受難の晩年を送る。フランスの敗北でピレネーを越え、スペイン、ポルトガルを経てアメリカへ逃れ、カリフォルニアに没す。表現主義叙情詩人として出発、友愛と人間性革新を叫ぶ詩集『世界の友』(1911)や『互いに』(1915)、奔放で新奇な、自己探求の劇『鏡人(きょうじん)』(1920)、父子相克の小説『殺した者ではなく、殺された者に罪あり』(1920)などがこの期の代表作である。小説『ベルディ』(1924)以後心理的リアリズムに転じ、多弁、バロック的誇張がときに指摘されるが、持ち前の素朴な「感激性」によって、信仰をもち苦悩する人間や民族を描いた多くの作品は世界的に認められている。劇『ユダヤ人の中のパウロ』(1926)、フス教徒の悲劇『ボヘミアの神の国』(1930)、少数民族アルメニア人の悲劇の小説『ムサ・ダークの40日』(1933)、旧約の預言者エレミヤを描いた『エレミヤ』(1937)、『ベルナデットの歌』(1941)、ユートピア小説『未生人の星』(1946)などが主要作品。評論『上と下との間』(1946)は作者の世界観、宗教観を知る手掛りである。[山戸照靖]
『アルマ・マーラー・ウェルフェル著、塚越敏訳『わが愛の遍歴』(1963・筑摩書房)』

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世界大百科事典内のウェルフェルの言及

【鏡】より

…また,ドストエフスキーの《二重人格》では,小役人の主人公が鏡像に分身願望を託すところから,彼の二重身体験の物語が始まる。フランツ・ウェルフェルの戯曲《鏡人》は,主人公と彼の分身としての鏡像との間に,ファウストとメフィストフェレスのような関係が成立する話である。そして映画《オルフェ》でコクトーは,鏡の向こうの世界を危険な魅力に満ちた死の国として描き,忘れがたい映像美をつくってくれた。…

※「ウェルフェル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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