エパクリス(その他表記)Epacris

改訂新版 世界大百科事典 「エパクリス」の意味・わかりやすい解説

エパクリス
Epacris

ツツジ科エリカに似たエパクリス科低木。葯が1室で縦に裂ける点で,ツツジ科が2室で多くは先端が開孔するのと異なる。葉は互生し,革質で鋸歯がない。花は総状花序を作るか,葉のわきに1個つき,宿存性の苞葉と4~5裂する萼がある。花冠は筒状で,先が4~5裂し放射相称おしべは4~5本。子房は上位で4~5室に分かれる。果実は球形の蒴(さくか)で5裂し,多数の種子を出す。オーストラリア,タスマニアニュージーランドに約40種が知られる。最近,園芸植物として数種類栽培されるが,やや寒さに弱い。

 エパクリス科Epacridaceaeは30属400種ほどあり,ツツジ科に近縁で,後者が分布しない南半球の南部を中心に広がり,北半球ではインドシナやハワイに少数知られるだけである。ツツジ科より乾燥地に適応した形をしている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エパクリス」の意味・わかりやすい解説

エパクリス
えぱくりす
[学] Epacris

エパクリス科の常緑小低木で、エリカに似る。原産地はオーストラリア、ニュージーランド、タスマニアで、約40種ある。花色は白、赤、紫などがあり、筒状または鐘状の小花を下向きに総状花序につける。原産地では四季咲き性で、冬から初夏にかけて多くの花をつけ、鉢花、切り花とする。耐寒性はなく、最低5~6℃は必要で、暖地でも無加温室で栽培する。鉢植えのものは冬季は室内で越冬させる。性質はエリカによく似ており、排水のよい用土で、夏季は半日陰の冷涼な場所で肥培(ひばい)し、初秋からはよく日に当てて育てる。繁殖挿木による。

[金子勝巳]

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