コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

オットセイ

百科事典マイペディアの解説

オットセイ

キタオットセイとも。食肉目アシカ科。平均体長は雄2.1m,雌は1.4m。体色はぬれているときは黒く見えるが,乾くと若い個体は銀灰色,成老獣では灰赤褐色。北太平洋に分布する。夏〜秋にコマンドルスキー諸島プリビロフ諸島およびサハリン沖のチュレニイ島(旧海豹島)に上陸。雄は15〜60頭の雌を従えてハレムをつくり繁殖する。妊娠期間は約1年。1腹1子。秋に島を離れて南方を回遊。一部は房総付近まで南下する。主として明け方にイカ,魚を食べる。毛皮は良質で高価だったため乱獲され一時は絶滅に瀕した。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

オットセイ
おっとせい / 膃肭獣
northern fur seal
[学]Callorhinus ursinus

哺乳(ほにゅう)綱鰭脚(ききゃく)目アシカ科の海産動物。体は紡錘形で、前後肢はともにひれ状である。頭は丸く、耳介は小さい。吻(ふん)部は短く、尾も目だたない。全身に刺毛と綿毛が密生し、刺毛は背側で濃い茶色、腹側は淡色である。その下に綿毛がある。寒さに適応し、体表に汗腺(かんせん)はない。四肢の大部分だけは無毛で、皮下に密に毛細管が分布するので、わずかに気温が上昇すると、四肢をあおいで皮膚表面から放熱する。
 樺太(からふと)(サハリン)のロッペン島(海豹(かいひょう)島)、ベーリング海のコマンドルスキー諸島・プリビロフ諸島、千島列島の中部にそれぞれ繁殖地がある。毎年6月上旬に、雄(ブル)が上陸して縄張りをつくって雌を待ち、出産を控えた妊娠雌を取り込んでハレムとする。その大きさは雌100頭を超えるものもあるが、平均約40頭である。雄は体長2.5メートル、雌は1.3メートル、体重は雄では200キログラムを超え、雌の約5倍に達し、典型的な性的二型を示す。雌は上陸後数日で出産、哺育に専心する。1産1子。生まれた子(パップ)は胎内で乳歯から永久歯に生え換わっており、黒っぽい体毛も生えそろっていて、すぐ歩きだすほどに完成しているため、母親の世話も少ない。授乳回数は週1回程度と少ないが、43%にも達する高率の乳脂肪がそれを補っている。繁殖期は上陸・出産後、7月末ごろまでで、発情雌が少なくなる8月ごろからしだいにハレムは崩壊する。雌と雄はしだいに索餌(さくじ)のため海上へ出て、南下する。最後に子が11月ごろ繁殖島を離れる。この時期が発育期のなかでもっとも高い死亡率を示す。プリビロフ系はカリフォルニア沖へ、コマンドルスキー系とロベン系はそれぞれ北太平洋と日本海へ、アシカ科のなかでもっとも長大な回遊をする。先頭は高年齢の雌が占め、北西太平洋では12月上旬に釧路(くしろ)沖に現れ、親潮の張り出しとともに南下し、銚子(ちょうし)沖にまで達する。食物はイカ類、ハダカイワシ類、スケトウダラ、マサバ、サンマなど、いずれも普通にみられるが、とくに両水塊の潮境に密に分布する種類で、それらの濃密群を追いつつ南下する。雄は繁殖島と同緯度の北辺水域に、子は沿岸域にとどまっている。このように海上では、繁殖島における社会構造とはまったく異なるルーズな個体間関係を示す。4月ごろから黒潮の勢力が強くなるのと並行して北上し、妊娠雌を先頭に繁殖島を目ざす。
 密生する綿毛のため、毛皮獣資源として19世紀から利用され、生息数は激減したが、1911年、日本、イギリス(57年からの条約ではかわりにカナダが加盟)、アメリカ、ロシアの4か国により、オットセイ条約が結ばれ保護された。その結果、現在約220万頭が生息し、毎年約10万頭が捕獲され、毛皮として供給されている。
 別属のミナミオットセイは、南半球に分布し、体形はオットセイに似るが、吻がややとがっている。[和田一雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

オットセイの関連キーワードミナミアフリカオットセイアンティポディース諸島オットセイ(膃肭臍)パシフィックランドファウルウインド岬ダウトフルサウンドチュレーニー[島]プリビロフ[諸島]オットセイ保護条約ミナミオットセイトド(海馬∥魹)プンタデチョロスフォート・ロスチュレーニー島バウンティ諸島ハレム(生物)サンティアゴ島フィリップ島ベーリング島シールスキン

今日のキーワード

グランピング

「グラマラス(Glamorous)」と「キャンピング(Camping)」を掛け合わせた造語で、ホテル並みの設備やサービスを利用しながら、自然の中で快適に過ごすキャンプのこと。従来型のキャンプとは一線を...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

オットセイの関連情報