カラカル(英語表記)caracal
desert lynx
Felis caracal

デジタル大辞泉 「カラカル」の意味・読み・例文・類語

カラカル(caracal)

ネコ科哺乳類。ロシア南部・インド北部・中東アラビアアフリカ分布。頭胴長55~75センチ。夜行性

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改訂新版 世界大百科事典 「カラカル」の意味・わかりやすい解説

カラカル
caracal
desert lynx
Felis caracal

耳の先に長い黒毛の房があり,胴に斑点がない食肉目ネコ科の哺乳類。アフリカ,アラビアからインドまでの半砂漠,草原サバンナに分布する。体長65~90cm,尾長20~30cm,体重8~18kg。四肢が長くオオヤマネコに似るが,毛が短く,ほおひげがない。尾は短く体長の半分以下。体の上面は一様な薄い砂色ないし赤褐色で,斑紋がない。体の下面は白色,胸や四肢の内側には褐色の斑点がある。ときに全身黒色の黒変型がある。おもに夜行性でよく木にも登る。ネズミからリードバック,ヤギヒツジまでのあらゆる哺乳類,ノガンまでの鳥のほかトカゲ,ヘビ類を捕食し,毒ヘビも食べる。非常に敏しょうで,飛び立つ鳥を跳び上がってとらえる。そのため昔,ペルシアとインドでウサギや鳥の狩猟用に飼育,珍重された。繁殖期は亜熱帯地方では春であるが,熱帯地方では不定。妊娠期間70日,1腹2~6子,ふつう2~3子を生む。子は6ヵ月で離乳し,約1年で独立,2歳で性的に成熟する。寿命は飼育下で17年の例がある。なお,カラカルはトルコ語で〈黒い耳〉の意といわれる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラカル」の意味・わかりやすい解説

カラカル
からかる
caracal
[学] Caracal caracal

哺乳(ほにゅう)綱食肉目ネコ科の動物。インド中央部からイランイラク、アラビアを経てサハラ砂漠以南のアフリカまでの荒れ地、乾いた草原、低木林に生息する。体長55~75センチメートル、尾長22~33センチメートル、体重8キログラムほどである。体は淡黄色から赤褐色で、耳の先に長毛がある。単独で生活し、おもに朝夕に狩りをする。ネズミ、ウサギ、トビウサギを捕食することが多いが、小形のアンテロープレイヨウ)も襲う。またジャンプ力が強く、空中に1.8メートルも跳び上がり、低く飛ぶ鳥をとらえることもする。長期間水なしで生存でき、獲物から水分を補給するといわれる。岩の割れ目や他の動物が捨てた地中の穴を巣とし、9~12月を中心に1産1~4子を産む。妊娠期間は70~78日である。子は産まれたときから不完全ながら目が開いており、10週間で乳離れし、21か月で性成熟する。人になれやすく、かつてインドや小アジアではレイヨウやウサギ、鳥などをとらえるために飼育して訓練された。

[今泉忠明]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カラカル」の意味・わかりやすい解説

カラカル
Caracal caracal; caracal; desert lynx

食肉目ネコ科。体長 60~90cm。耳介は先端がとがった三角形で,その先端には毛総がある。尾は比較的短く,後肢は前肢よりもやや長い。動作は敏捷で,短距離を速く走ることができる。ロシア南部からインド北部,中東,アラビア半島,アフリカに広く分布し,砂漠地帯からサバナにすむ。食物は,アフリカ産のものは小型のアンテロープの仲間やさまざまな鳥で,アジア産のものは小型哺乳類のジリス類,ノウサギやハトなどである。

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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「カラカル」の解説

カラカル
学名:Felis(=Caracal) caracal

種名 / カラカル
科名 / ネコ科
解説 / 足が速く、ジャンプも得意な点が、地上での狩りに役立っています。サーバルより乾燥した所にもすんでいます。
体長 / 60~90cm/尾長20~30cm
体重 / 8~22kg
食物 / ネズミなど小型ほ乳類、中型の草食動物、鳥
分布 / 西アジアからアフリカ

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世界大百科事典(旧版)内のカラカルの言及

【ネコ(猫)】より

…ネパールから東南アジアに分布するマーブルキャットFelis marmorataやウンピョウなどは樹上でも狩りをする。サーバルF.servalカラカルF.caracalなどは空中に高く跳び上がり,飛んで逃げる鳥をもとらえる。ジャガーなどは獲物を追ってしばしば水に入る。…

※「カラカル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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