コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

カルネアデスの板 かるねあですのいた

2件 の用語解説(カルネアデスの板の意味・用語解説を検索)

デジタル大辞泉の解説

カルネアデス‐の‐いた【カルネアデスの板】

古代ギリシャの哲学者カルネアデスが提起した問題。難破で洋上を漂流する者が、一人しかつかまることのできない板を他者から奪い取って生き延びた場合、この行為は正当といえるかどうかというもの。カルネアデスの舟板。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カルネアデスの板
かるねあですのいた

倫理学的な思考実験の一つであるが、刑法学においても格好の素材とされる。古代ギリシアの哲学者カルネアデスが問題提起した事例に関連してこの名がつけられた。洋上で船が難破した際、漂流者が、1人しかつかまれない板を、他の漂流者から奪い取って生き延びた場合、この行為は正当といえるかどうかを、カルネアデスは問うた。この事例は、今日の刑法理論によれば、自分の生命を救うためにやむをえず他人の生命を犠牲にすることが許されるかという刑法第37条の緊急避難の限界を論じたものである。そのため、緊急避難の本質や限界を論ずる際に、この事例がしばしば引用される。
 このような生命対生命の場合につき緊急避難が成立するかについては争いがある。すなわち、この場合を違法阻却事由として処理するか、違法ではあるが、期待可能性がないものとして責任阻却事由とするかという対立であるが、いずれによっても不可罰となる点では同じである。違法阻却の本質に関する社会相当説によって緊急避難を肯定する見解もあるが、法益衡量説(価値の低い法益を犠牲にして価値の高い法益を救う場合、その違法性は阻却されるという説。優越的利益説ともいう)によれば、生命という最高かつ特殊な法益については違法阻却にあたらないと解することになる。どの説をとるかによって、この種の行為に対して、被害者が正当防衛をなしうるかなどについて違いを生じる。[名和鐵郎]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内のカルネアデスの板の言及

【緊急避難】より

…国内法上のものと国際法上のものとがある。
[国内法]
 古くはヘレニズム時代にカルネアデスが,船が難破したときに,1人しかつかまれない板にしがみついている人間を突き落として板を奪い,みずから助かることはゆるされるか,という形で問題を提出した(カルネアデスの板)。宗教や倫理の問題としてはともかく,法律の問題としては,切迫した危難のもとにおいて,他者に損害を与えて難を避けることを一定限度においては認めざるをえないというのが,少なくとも現代の多くの国のとっている態度である。…

※「カルネアデスの板」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

今日のキーワード

大寒

二十四節気の一つ。元来,太陰太陽暦の 12月中 (12月後半) のことで,太陽の黄経が 300°に達した日 (太陽暦の1月 20日か 21日) から立春 (2月4日か5日) の前日までの約 15日間で...

続きを読む

コトバンク for iPhone