クライオスタット(英語表記)cryostat

翻訳|cryostat

改訂新版 世界大百科事典 「クライオスタット」の意味・わかりやすい解説

クライオスタット
cryostat

物性測定や構造解析の目的試料を低温に保つ装置。低温実験には不可欠の装置で,その基本構造は熱伝達の調節熱絶縁の利用から成る。熱伝達は,(1)試料の周囲にある気体の分子運動に基づく熱伝導,(2)試料に接している金属やプラスチックなど固体の熱伝導,(3)物体からの輻射による熱伝導,の三つの形式による。クライオスタットでは,試料の冷却と,冷却した試料への熱の流入を防ぐために,これら三つの熱伝達を制御しかつ利用している。試料の熱絶縁には市販の魔法瓶と同じ構造をもつデュワー瓶の利用が主体となっている。実験目的に応じて各種の冷媒寒剤を使用し,10K以下の温度をつくるのに液体ヘリウムを利用する場合,外部からの熱の流入が激しいので,二重のデュワー瓶を利用する。連続的に温度制御ができるクライオスタットは,寒剤の蒸発制御と電気ヒーターの組合せによってつくられる。温度測定には,温度計や熱電対を利用する。とくに液体ヘリウムを利用する低温領域の測定には,ゲルマニウム単結晶を利用する半導体温度計やごく薄い合金を使った熱電対が用いられる。実際に用いるクライオスタットは,その目的に応じて,試料を光で照射したり,電導度が測定できるように電線を引き出すなどのくふうがこらされている。なお生物学では,組織化学的な研究のために凍結切片を作る装置をいい,ふつうクリオスタットと呼んでいる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クライオスタット」の意味・わかりやすい解説

クライオスタット

クリオスタット」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android