クリュタイムネストラ

百科事典マイペディア 「クリュタイムネストラ」の意味・わかりやすい解説

クリュタイムネストラ

ギリシア伝説のミュケナイ王アガメムノンの妃。クリュタイメストラとも。夫のトロイア遠征中にアイギストスと通じ,10年目に凱旋した夫と捕虜の王女カッサンドラを殺害,のちわが子オレステスに殺される。
→関連項目イフィゲネイアエレクトラオレステイア三部作レダ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「クリュタイムネストラ」の意味・わかりやすい解説

クリュタイムネストラ
Klytaimnēstra

ギリシア伝説で,ミュケナイ王アガメムノンの妃。クリュタイメストラKlytaimēstraともいう。ヘレネ姉妹。夫がトロイアを目ざすギリシア艦隊の出帆を可能ならしめるために娘のイフィゲネイア犠牲に供したことを恨んだ彼女は,夫の出征中に通じた義理従兄弟のアイギストスAigisthosと謀り,10年ぶりに凱旋した夫を,婢妾として連れ帰ったトロイア王女カッサンドラもろともに殺害したが,のち息子のオレステスに討たれた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クリュタイムネストラ」の意味・わかりやすい解説

クリュタイムネストラ
Klytaimnestra

ギリシア神話の女性。スパルタ王テュンダレオスと妃レダの娘で,ディオスクロイとヘレネの姉妹。アガメムノンの妻となったが,彼がトロイ遠征を成功させるために,アウリスで娘のイフィゲネイアアルテミスいけにえに捧げたことを恨み,夫の出征中にアイギストスと不倫の関係を結び,この愛人と共謀してトロイから帰還したアガメムノンをだまし討ちにして殺し,アイギストスをミケーネ王位につけて,娘のエレクトラにも迫害を加えた。しかし7年後に成人して父の仇討ちのために帰国したオレステスによってアイギストスと一緒に殺されたという。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のクリュタイムネストラの言及

【アガメムノン】より

…スパルタ王メネラオス(トロイア王子パリスに誘拐された美女ヘレネの夫)の兄。ヘレネを奪還すべくアウリスに結集したギリシア艦隊の出港時,娘のイフィゲネイアを女神アルテミスへの犠牲に供して,妃クリュタイムネストラの恨みを買った。その10年後,トロイアを陥落せしめ,所期の目的を遂げた彼は,みずからの婢妾としてトロイア王女カッサンドラを伴い,故国に凱旋したが,妃とその情人アイギストスに殺された。…

【アトレウス家伝説】より

…スパルタ王となったメネラオスの妻ヘレナがトロイアに出奔して端を発したトロイア戦争では,アガメムノンが遠征軍の総大将となった。10年に及ぶ遠征から凱旋したアガメムノンは,その間アイギストスと密通した妻クリュタイムネストラに謀殺された。しかしこの両者もアガメムノンの遺子オレステスとその姉エレクトラによって非業の死を遂げた。…

【オレステイア三部作】より

…アトレウスの一族の血で血を洗う復讐劇に正義の観点から光を当て,その部族社会的な近親者の手による報復の掟から脱却して,市民社会にふさわしい新しい倫理と解決方法を模索する。第1部ではトロイア遠征に勝利を得て帰還したアガメムノンを,王妃クリュタイムネストラ(クリュタイメストラ)が愛人アイギストスAigisthosと共謀して暗殺する夫殺し,第2部では難を逃れて成人した王子オレステスが帰国して姉エレクトラと再会し,計略で王妃らを殺す母殺しを描く。第3部ではその罪のため復讐霊エリニュエス(エリニュス)に追われるオレステスがアテナイで女神アテナの裁きを受ける。…

【オレステス】より

…ギリシア伝説で,ミュケナイ王アガメムノンと妃クリュタイムネストラの子。トロイア戦争から凱旋した父を母とその情人アイギストスAigisthosが謀殺したとき,まだ少年だったオレステスは姉エレクトラの手引きで叔父のフォキス王のもとに逃れ,いとこのピュラデスPyladēsとともに育てられる。…

※「クリュタイムネストラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android