トウダイグサ科の低木で,変異を生じやすく,マレーシアを中心に,熱帯各地で多くの品種が栽培される。一般にクロトンcrotonと呼んでいるが,これは英名で,植物分類上のハズ属(クロトン属)Crotonとは異なる。クロトンノキ,ヘンヨウボク(変葉木)の和名がある。沖縄県には多くの品種が集められている。熱帯地域では生垣など庭園樹として利用され,葉の形に変化があり,色彩も豊富で美しい。生育には高温と強い光が必要なため日本ではあまり栽培は多くないが,鉢物観葉植物としてだけでなく,観賞温室の造景樹としても利用される。ダイオウベッコウ(英名harvest moon)はほこ形の大葉で,葉脈が黄色となる。アケボノは中型の楕円形葉で,黄,ピンク,暗赤,緑褐色が入り混じる。立性の細葉で,黄斑をちりばめる〈黄金流星(おうごんりゆうせい)〉,立性の細葉でねじれが激しく,大きく黄斑の入る〈錦仙黄(きんせんこう)〉などが鉢物として栽培される。繁殖は挿木,取木。冬は15℃以上に保温し,日当りをよくし,乾燥ぎみに保つ。
執筆者:高林 成年
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イタリア南部、タラント湾(古称タレントゥム湾)西岸に位置した古代のギリシア植民都市。クロトナCrotonaともいう。現在のカラブリア州クロトーネ県クロトーネCrotoneにあたる。紀元前710年ごろアカイア人によって建設された。すぐに繁栄を迎え、南イタリアの諸都市テリナ、カウロニアに植民を行い、ラメティウム、スキラキウムなどを従えた。前6世紀にはピタゴラスが教団を設立し、以後彼らは前450年ごろまで貴族政的色彩の強い政治体制を敷いた。有名な体育競技者ミロンMilonはこの地の出身で、彼は前510年のシバリスとの戦いで軍を率い、市を勝利に導いた。クロトン市はサラミスの海戦では1隻の艦船を提供したが、その後ロクリスとレギウムとの争いに敗れて衰退し始めた。前379年ディオニシオス1世に征服され、ピロス、ハンニバルとローマとの戦争によって壊滅的打撃を受けた。前194年ローマ人による再植民がなされたが成功しなかった。現在のクロトーネは人口5万1182(2001国勢調査速報値)。カラブリアの主要な港湾・工業都市で、城と大聖堂が残る。
[古川堅治]
トウダイグサ科(APG分類:トウダイグサ科)の植物で、葉の色彩と模様が変化に富み、ヘンヨウボク(変葉木)の和名もある。マレーシアから太平洋諸島、オーストラリア北部にかけて15種ほど分布し、このうちのバリエーガタムC. variegatum Bl. が普及し、熱帯各地で庭木や生け垣などに使われている。常緑の低木で、葉は互生してつき、葉形は広葉、細葉、長葉、螺旋(らせん)葉など変化があり、色も豊富である。代表的な品種にはアケボノ、ハーベストムーン、インディアンブランケット、リュウセイ、トビハなどがある。栽培は夏の間を除き温室か室内に入れ、日によく当て15℃以上を保つ。繁殖は挿木か取木で、6~7月がよい。
[坂梨一郎 2020年6月23日]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
前8世紀の末,イタリア半島南部にペロポネソス半島北岸アカイア地方のギリシア人が建てた植民市。マグナ・グラエキアの雄邦。ピュタゴラス教団の所在地。前510年北方のシュバリス市を倒してのち最盛期を迎えたが,その後衰退し,ピュロス戦争,ハンニバル戦争で荒廃した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
…おもな河川はクラーティ,ネートなどである。 ギリシアの植民地として,シュバリスやクロトンなどの都市が繁栄したこの地方は,ローマ帝国没落後は経済的に停滞し,ビザンティン帝国やノルマン人などの外部勢力の支配を経て,イタリア統一までの長い間ナポリ王国(1815年以後は両シチリア王国)の下にあった。この間に確立された封建的な土地所有制度や社会構造,外敵やマラリアを恐れて平地を避け山につくられてきた集落やそこでの生活様式は,イタリア統一後もこの地方を特色づけ,後進地域としての性格を刻印してきた。…
※「クロトン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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