クロトン(その他表記)Codiaeum variegatumBl.var.pictum Muell.Arg.

デジタル大辞泉 「クロトン」の意味・読み・例文・類語

クロトン(croton)

トウダイグサ科の常緑低木。熱帯アジア原産観葉植物。葉は長楕円形線形で、色も白・黄・赤・紫などさまざま。変葉木へんようぼく

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精選版 日本国語大辞典 「クロトン」の意味・読み・例文・類語

クロトン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] croton ) トウダイグサ科の常緑低木。熱帯アジア原産で、観葉植物として温室で栽培される。茎は直立して高さ一~二メートルになる。葉は厚い革質で、黄、赤、橙色などの線や斑点が組み合わさったさまざまな模様がはいった長楕円形で互生する。花は白色で葉腋(ようえき)から出た花柄に穂状につく。和名、変葉木(へんようぼく)。クロトンのき。

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改訂新版 世界大百科事典 「クロトン」の意味・わかりやすい解説

クロトン
Codiaeum variegatumBl.var.pictum Muell.Arg.

トウダイグサ科の低木で,変異を生じやすく,マレーシアを中心に,熱帯各地で多くの品種が栽培される。一般にクロトンcrotonと呼んでいるが,これは英名で,植物分類上のハズ属(クロトン属)Crotonとは異なる。クロトンノキヘンヨウボク(変葉木)の和名がある。沖縄県には多くの品種が集められている。熱帯地域では生垣など庭園樹として利用され,葉の形に変化があり,色彩も豊富で美しい。生育には高温と強い光が必要なため日本ではあまり栽培は多くないが,鉢物観葉植物としてだけでなく,観賞温室の造景樹としても利用される。ダイオウベッコウ(英名harvest moon)はほこ形の大葉で,葉脈が黄色となる。アケボノは中型の楕円形葉で,黄,ピンク,暗赤,緑褐色が入り混じる。立性の細葉で,黄斑をちりばめる〈黄金流星(おうごんりゆうせい)〉,立性の細葉でねじれが激しく,大きく黄斑の入る〈錦仙黄(きんせんこう)〉などが鉢物として栽培される。繁殖は挿木,取木。冬は15℃以上に保温し,日当りをよくし,乾燥ぎみに保つ。
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クロトン
Krotōn

イタリア南部カラブリア州の都市。現名クロトーネCrotone。人口5万8300(1981)。前710年ころアカイア人の植民市として建設された。前530年ころピタゴラスサモスより移住して以降この町は運動家,医者,哲学者根拠地として有名になる。前510年にシュバリスを破った後,南イタリア最強の都市となる。前4世紀以降内乱,ピュロス戦争,第2次ポエニ戦争などで次々と打撃を受け,前194年にローマ人がここに植民市を建設するが,かつての重要性は失われた。現在は港湾施設を有する小工業都市。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロトン」の意味・わかりやすい解説

クロトン(イタリア)
くろとん
Croton

イタリア南部、タラント湾(古称タレントゥム湾)西岸に位置した古代のギリシア植民都市。クロトナCrotonaともいう。現在のカラブリア州クロトーネ県クロトーネCrotoneにあたる。紀元前710年ごろアカイア人によって建設された。すぐに繁栄を迎え、南イタリアの諸都市テリナ、カウロニアに植民を行い、ラメティウム、スキラキウムなどを従えた。前6世紀にはピタゴラスが教団を設立し、以後彼らは前450年ごろまで貴族政的色彩の強い政治体制を敷いた。有名な体育競技者ミロンMilonはこの地の出身で、彼は前510年のシバリスとの戦いで軍を率い、市を勝利に導いた。クロトン市はサラミスの海戦では1隻の艦船を提供したが、その後ロクリスとレギウムとの争いに敗れて衰退し始めた。前379年ディオニシオス1世に征服され、ピロス、ハンニバルとローマとの戦争によって壊滅的打撃を受けた。前194年ローマ人による再植民がなされたが成功しなかった。現在のクロトーネは人口5万1182(2001国勢調査速報値)。カラブリアの主要な港湾・工業都市で、城と大聖堂が残る。

[古川堅治]


クロトン(植物)
くろとん
croton
[学] Codiaeum

トウダイグサ科(APG分類:トウダイグサ科)の植物で、葉の色彩と模様が変化に富み、ヘンヨウボク(変葉木)の和名もある。マレーシアから太平洋諸島、オーストラリア北部にかけて15種ほど分布し、このうちのバリエーガタムC. variegatum Bl. が普及し、熱帯各地で庭木や生け垣などに使われている。常緑の低木で、葉は互生してつき、葉形は広葉、細葉、長葉、螺旋(らせん)葉など変化があり、色も豊富である。代表的な品種にはアケボノ、ハーベストムーン、インディアンブランケット、リュウセイ、トビハなどがある。栽培は夏の間を除き温室か室内に入れ、日によく当て15℃以上を保つ。繁殖は挿木か取木で、6~7月がよい。

[坂梨一郎 2020年6月23日]


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百科事典マイペディア 「クロトン」の意味・わかりやすい解説

クロトン

ジャワ〜オーストラリアの地域に原産するトウダイグサ科の常緑低木。ヘンヨウボク(変葉木)の名があり,観葉植物として温室で栽培される。葉は厚い革質で,その形には楕円形〜線形,ほこ形,縁が波状のもの,らせん状にねじれるものや,中央が主脈だけになって先端に再び葉身を形作る飛び葉など変化が多く,葉に入る模様は赤・桃・黄の条や斑紋が組み合わさったものである。高温多湿を好み,越冬温度は15℃くらいが必要。繁殖はさし木か取り木による。
→関連項目観葉植物

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロトン」の意味・わかりやすい解説

クロトン
Codiaeum variegatum; croton

トウダイグサ科の常緑低木で,高さ1~2m。ジャワ,マレーシア,オーストラリアなどの原産。熱帯地方では生垣などに広く栽培されているが,日本では普通鉢植にして温室で栽培し,夏の室内装飾などに使われる。葉は互生しつやがあり厚い革質,卵形から線形までいろいろの形がある。またねじれたものや,ほとんど中央脈まで切れ込み筋だけになり,その先に小葉片をつけた飛び葉形のものなどもある。品種により葉面に白,黄,褐,赤などの美しい色が現れたり,斑点や縞のあるものも多く,そのためにヘンヨウボク (変葉木) の別名もある。

クロトン
Krotōn; Crotona

南イタリア,ラキニアにあった古代ギリシアの植民市 (アポイキア ) 。現クロトーネ。前 710年頃アカイア人が建設し,港町として繁栄した。ミロンらの競技者を輩出し,前 530年頃ピタゴラスが来てその学派が勢力をふるった。前 510年最盛期を迎えたが,まもなく衰退に向いポエニ戦争で破壊された。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「クロトン」の解説

クロトン
Kroton

前8世紀の末,イタリア半島南部にペロポネソス半島北岸アカイア地方のギリシア人が建てた植民市マグナ・グラエキアの雄邦。ピュタゴラス教団の所在地。前510年北方のシュバリス市を倒してのち最盛期を迎えたが,その後衰退し,ピュロス戦争,ハンニバル戦争で荒廃した。

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世界大百科事典(旧版)内のクロトンの言及

【カラブリア[州]】より

…おもな河川はクラーティ,ネートなどである。 ギリシアの植民地として,シュバリスやクロトンなどの都市が繁栄したこの地方は,ローマ帝国没落後は経済的に停滞し,ビザンティン帝国やノルマン人などの外部勢力の支配を経て,イタリア統一までの長い間ナポリ王国(1815年以後は両シチリア王国)の下にあった。この間に確立された封建的な土地所有制度や社会構造,外敵やマラリアを恐れて平地を避け山につくられてきた集落やそこでの生活様式は,イタリア統一後もこの地方を特色づけ,後進地域としての性格を刻印してきた。…

※「クロトン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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